残したい情景~文化的歴史的所産を巡る~ 第42回 島根県出雲市 一般財団法人 日本不動産研究所 地域を守り続ける築地松 伝えるべき伝統の原風景
住宅新報 2020年3月3日 号 14面
松江から出雲大社に向かうには、出雲市斐川町の出雲平野の真ん中をつっきる県道を使うことが多い。交通量の多い国道9号を避ける意味もあるが、広くのどかな田園風景が気に入っているからだ。出雲平野は、東を宍道湖・西を日本海の大社湾に面する山陰最大級の沖積平野であり、その北西部には全国から多くの参拝客を集める出雲大社が鎮座している。八岐大蛇(やまたのおろち)で有名な斐伊川の河口にもあたり、この川で古代より活発に行われていた鉄穴流しによる砂鉄採取・たたら製鉄に伴う排砂によって平野が拡大したという。現在は、稲作を中心とした農業が盛んであり、県道周辺には平たい田んぼがいくつも広がっていて、空が大きくみえる。
洪水対策に起源
そんな風景のところどころで目をひくのは、きっぱりと四角く刈りこまれた背の高い木立ちである。田んぼの中に点在するこのあたりの農家住宅は、母屋を中心に納屋や離れなどを備えた大きなものも多く、その周囲には、屋根よりも高く一定の位置に切りそろえられた黒松が植わっている。これが「築地松(ついじまつ)」である。主に屋敷の西及び北側にあり、吹き抜ける強風から家屋敷を守る防風林としての役割を果たす。























