業界団体トップの年頭所感 豊かな社会へストック再構築
住宅新報 2020年1月7日 号 3面
不動産業は新しいステージへ
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 4月から民法の債権法が改正施行され、より契約概念を重視した取引が求められる。本会では昨秋より改訂版書式にかかわるウェブ研修など万全の対応をとると共に、6月にはクラウド型ウェブ書式作成システムを稼働させる。昨年末の税制改正で創設された「低未利用地の譲渡に係わる100万控除」も施行される。「不動産業ビジョン2030」に「不動産をたたむ」概念が記載されたことで、土地が有効活用され、地方での所有者不明土地の解決や空き地対策の一助となることを期待している。ハトマークグループは「みんなを笑顔にするために」引き続き会員の安心安全な不動産取引をサポートするため、各種事業を実施していく。
ストック型社会の実現を
阿部俊則・住宅生産団体連合会会長 消費税率が引き上げられ、前回ほどではないが、住宅需要には大きな落ち込みが見られる。20年度税制改正大綱では、住宅の取得やリフォーム等に伴う消費税以外の税負担の増大が回避された。また、次世代住宅ポイント制度の要件緩和やZEH補助対象の運用改善が図られ、今年も引き続き住宅需要の下支え効果を発揮することが期待される。これからのストック型社会にふさわしい住宅税制の抜本的な見直しを行うことが重要だ。当連合会では引き続き税制に関する調査研究を続け、政府に対し、そのあるべき姿を提言していく。
中期ビジョンの具体化へ
原嶋和利・全日本不動産協会理事長 昨年6月に「全日中期ビジョン―新時代の『豊かな生活』を支える産業であるために―」を公表した。本年は検討課題の空き家問題や政策発信を中心とした8つのテーマの実現に向けて具体策を講じていく。昨年末には低未利用物件・低額物件に係る長期譲渡所得における特例措置が創設された。本年は3年目を迎える「全国一斉不動産無料相談会」や120年ぶりに改正された民法への対応など、不動産取引に関する研修業務や政策提言を通じて業界の資質向上を図ると共に、将来を見据えた組織改革を実行する。全日グループが一体となり、よりバランスの取れた協会運営を図っていく。
レジリエンスに積極対応
芳井敬一・プレハブ建築協会会長 長期優良住宅やZEHをはじめとする品質・性能の優れた住宅を積極的に供給すると共に、昨年の災害におけるライフラインの途絶などの被害を受け、蓄電や創エネによるエネルギーの自立的な確保で災害時にも住み続けられるレジリエンス性の高い住宅のニーズにも積極的に対応する必要がある。良質な住宅ストック社会の実現のためには、性能の高い優良な住宅建て替え供給とリフォームによる既存住宅の性能向上を車の両輪としてうまく回すことが不可欠であり、良質な住宅ストックを形成することにより、既存住宅の適正な評価や円滑な流通も促進されると考えている。
創立50周年の節目
山代裕彦・不動産流通経営協会理事長 現在、社会資本整備審議会・住宅宅地分科会で住生活基本計画の見直しに関して審議が進められている。当協会も分科会に参画しており、ライフスタイルや価値観の変化を背景に多様化する住宅ニーズに応えるべく、お客様視点から意見具申を行い、その実現を後押ししていきたい。当協会は本年5月に創立50周年の節目を迎える。これを機に会員相互の更なる結束を図り、今日の消費者ニーズに即応した新たな時代の不動産流通制度の確立と不動産流通市場の発展に向けて邁進していく。
住宅取得の環境整備を
市川晃・日本木造住宅産業協会会長 昨年も大規模な自然災害が各地で大きな被害をもたらした。地球温暖化と異常気象への対応を急がねばならない。消費税増税の影響は前回の引き上げ時よりも小さいものの、住宅需要には落ち込みが見られる。山積する課題の中でも良質な住宅ストックと流通市場の整備は急務だ。建物の価値を適正に評価し適時適所に住宅取得ができる環境整備が重要。多岐多重にわたる住宅税制の抜本的な改正、住宅消費税の恒久的な負担軽減を要望していく。
災害に強い住宅を
馬場研治・全国住宅産業協会会長 自然災害に直面する度に「災害列島」であることを強く印象づけられる。住宅に関わる事業者として、これまで以上に立地の適正に配慮すると共に、強度や性能面に瑕疵のない住宅を供給することの重要性を痛感している。住宅・不動産市場では、建設コストの高止まりと事業用地の取得難から新築住宅の価格は年々上昇し、一次取得者の購入能力とは大きなかい離が生じている。今後とも市場の動向には目を離すことなく、状況に応じては的確な対応がなされることが必要だ。
良質な住宅ストックを
池田明・日本ツーバイフォー建築協会会長 消費税率が引き上げられ、駆け込み・反動減は共に比較的軽微なものとなったが、最近の住宅着工は前年比マイナスを続けており、予断を許さない。今後も住宅市場の動向を的確に見極め、必要な対策が機動的に講じられることを期待したい。更に、住宅税制の抜本的見直しについて本格的に検討してほしいと考えている。住宅に対するニーズは多様化が進んでおり、良質な住宅ストックを形成していくことが必要だ。ツーバイフォー工法は高い性能で消費者の信頼を得ており、ストックの時代に相応しい住宅・建築として一層発展させていきたい。
賃貸管理業の質的向上を
末永照雄・日本賃貸住宅管理協会会長 「不動産業ビジョン2030」の重点政策課題の一つに「賃貸住宅管理業者登録制度の法制化」が明記された。賃貸住宅管理業の法制化と賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現に向け、業界の友好団体と足並みをそろえ、行政との連携を更に深めていく。国土交通省が推進する「不動産の最適活用」では、管理が重要な役割を果たす。賃貸住宅管理業の質的向上を更に図るため、各種の施策を通じ、経営幹部・従業者の育成に重点を置いて取り組んでいく。
管理士の国家資格化へ
原嶋和利・賃貸不動産経営管理士協議会会長 国交省は「不動産業ビジョン2030」の重点政策課題に「賃貸住宅管理業者登録制度の法制化」を掲げた。今後10年は賃貸住宅管理の重要性が益々高まり、賃貸不動産経営管理士が果たすべき役割は更に大きくなる。累計合格者は6万1000人を超え、昨年の受験者は2万5000人を突破し過去最高となった。借主と貸主の安心・安全な住環境の維持向上および賃貸住宅管理業の適正化を進める人材育成と、賃貸不動産経営管理士の国家資格化に向けて邁進する。
管理情報開示を推進
岡本潮・マンション管理業協会理事長 マンション管理が市場価値へ正しく反映される仕組みづくりに注力し、11団体からなる研究会で中間報告がまとまった。国交省の委員会でマンションの適正な管理の評価の検討などについて言及がなされ、研究会の方向性と同じくするものと大変好ましく受け止めている。管理情報開示の等級評価をはじめとする新たな制度が不動産市場で広く開示されるよう、業界横断的な活動を更に進めていく。また、法定書面の電子交付等の社会実験の成果を踏まえ、現行規制を見直す法改正が行われることに大きな期待を寄せている。
政策実施機能を最大化
加藤利男・住宅金融支援機構理事長 「フラット35」は堅調に推移し、累計108万戸の利用がある。当機構は住生活の向上を金融面から支援するため、政策実施機能の最大化を図ることが求められている。地方自治体との協働による地域との連携や、高齢者の多様な住宅ニーズに対応するリバースモーゲージ型住宅ローンの提供等を実施。また東日本大震災などの復興支援にも引き続き丁寧に対応していく。今後とも、国民や社会に必要とされる組織として評価されるよう、役職員一丸となって業務に邁進する。
政策的な役割高まる
中島正弘・都市再生機構(UR都市機構)理事長 昨年は令和に元号が変わり、日本の歴史の大きな節目を迎えた一方で、台風などの自然災害が多い年でもあった。当機構の業務を振り返ると、昨年7月に災害対策基本法における指定公共機関に指定され、同12月公布の改正地域再生法ではURの政策的な役割の位置付けが高まった。東日本大震災からの復興支援も、引き続き最優先業務として推進。また「UR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョン」の実現に向け、団地の地域医療福祉拠点化を加速する。更に同10月には豪州の公社と連携契約を締結。引き続き、海外との協定締結等を進めていく。


































