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プレミアム会員限定ニュースが分かる! Q&A 相次ぐ災害で国も対策に注力 他人事と思わず防災意識を

住宅新報 2019年12月10日 号 16面

連載: ニュースが分かる!Q&A

総合

 学生 先生、少し質問よろしいですか。

 教員 おや熱心だね、先刻の講義の件かな。まあ建築のことなら何でも聞きなさい。ただし次の課題の範囲は答えられないぞ。

 学生 〝真水〟って何のことですか?

 教員 小学生か君は。

 学生 この新聞記事に「真水10兆円」と書いてあるんですけれど、意味が分からなくて。文字通りのウォーターという意味でないことくらいは分かるのですが。

 教員 ああ……補正予算の話か。厳密な定義はないと思うが、一般的には国の経済対策の中で、全体の事業規模に対して付加価値を直接増やす部分を指す。土地の取得や融資などを除いた、GDPを直接押し上げるような支出だ。私も専門ではないが、政治・経済用語だな。

 学生 つまりこの記事は、政府が大規模な補正予算の編成を行う意向と読めばよいのですか。

 教員 その理解で問題ないだろう。付け加えればこの記事にもある通り、その大きな柱は防災・減災に向けた公共事業費のようだ。近年の相次ぐ災害で、災害対策への機運が以前にも増して高まっていることの現れとも言える。

 学生 国には国民の安全を守る義務がありますからね。

 教員 うむ、まあ……そうだな。ただ、当然ながら国の財布も無限ではない。だから、防災・減災は経済合理性から考えても重要なんだ。例えば11月に閣議決定された予備費では、公共土木施設等の災害応急復旧に63億円、被災地域での観光需要喚起に29億円の計92億円が計上された。昨年は「平成30年7月豪雨」の被害への対応で8月に61億円、9月に570億円の予備費が使用されている。

 学生 災害は、人命はもちろん、経済的な被害も深刻ですよね。

 教員 そこで事前の災害対策が重要となる。昨年の台風21号では大阪港で、61(昭和36)年の第二室戸台風を超える過去最高の潮位を記録したが、約13万戸が浸水した57年前と違い、市街地への高潮浸水は食い止められた。被災の教訓から、海岸や河川の堤防と水門の整備を進めた効果と考えてよいだろう。国交省の資料によると、維持管理も含めた整備コストは約1500億円で、約17兆円の被害を未然に防いだとされている。

 学生 絶大な費用対効果なんですね。

 教員 数字を鵜呑みにするかどうかは別として、事前防災は確かに効果的なので国も施策を進めている。「社会資本整備重点計画」では数十項目の災害リスク対策について個別に目標値を設け、各分野でインフラ整備・更新を進めている。例えば13年に82%だった住宅の耐震化率は、20年に95%まで引き上げることが目標。ハザードマップの作成や住民への防災訓練を行った市町村の割合については、洪水・内水・津波・高潮と分野によって18年度に0~70%だったところ、20年度にはすべて100%を目指す。

 学生 災害対策は直接的な利益を生まず、民間では投資しにくいから、行政主導で行うべきなんですね。

 教員 その考えは甘い。さっき言った通り国の財政にも限りがあるし、民間が自発的に行うべき領域は広い。例えば最近、タワマン等の電気設備浸水対策に向けた国の有識者会議があったが、その趣旨は「対策のための指針を示す」ところまでだ。国が防災工事を肩代わりしてくれるわけではないし、最適解を明示するわけでも、対策のための費用相場を細かく説明してくれるわけでもない。むしろ人の命と財産を守るため、ディベロッパーや管理組合の主体的な行動が問われている。

 学生 素晴らしい地図をもらったとしても、歩くのは自分の足ですからね。

 教員 詩人だね。君は文学部だったか?

 学生 工学部ですが。

 教員 そうだった。いずれにせよ、近年国や自治体は災害対策に注力している様子で、またそうすべきだと私は思うが、民間の努力も欠かせないということだ。個人、地域、企業など各主体にとって、他人事と思わずに必ず意識するべきテーマだろう。

 学生 勉強になります。ありがとうございました。

 教員 備えあれば憂いなし、試験対策もしっかりやるんだね。文字通り他人事じゃあないぞ。

 学生 ぎく。

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