ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 95 日本不動産仲裁機構 インスペクションをきっかけとした解決事例
住宅新報 2019年12月3日 号 7面
連載: ADRの現場から
裁判によらず、当事者同士の話し合いによってトラブルを解決するADR(裁判外紛争解決手続)。裁判に比べて、簡易・低廉・柔軟さをもったトラブル解決が可能になるが、これは消費者だけでなく、不動産・建築事業者にとっても有益な制度である。事業者は当事者同士の板挟みとなり時間と労力を浪費していくケースも多くあるが、ここでADRという話し合いによる具体的な解決策を提案することは非常に前向きなことだ。今回は、法務大臣認証ADR機関である日本不動産仲裁機構が、インスペクションとトラブルの関係について紹介する。
国策として取り組みが行われている中古住宅流通の活性化ですが、物件売買においては少なからずトラブルが発生しています。そこで、トラブルをできるだけ未然に防ぐために制度化されたのが改正宅地建物取引業法における「中古住宅取引の際のホームインスペクション(住宅診断)の説明義務化」です。ここでは、ホームインスペクションを実施することによってトラブルが解決したという2つの事例を紹介します。
東京都内の築20年の戸建住宅を一般の売主より購入したA氏。購入から半年後、ベランダ表面部分に劣化が見られたため、防水のリフォームを業者に依頼したところ、ベランダ内部の腐食を指摘されました。仲介をした不動産会社B社に瑕疵ではないかと確認したところ、取り合ってくれません。また、売主C氏にもこの旨を伝えたが、こちらも取り合ってはくれないという状況。ここで、A氏はB社を被申立人とするADRによってこのトラブルを解決することを選択しました。
A氏の希望は、ベランダの修繕費用の約100万円について、瑕疵担保責任を理由として、B社もしくはC氏に負担してもらうこと。一方、B社及びC氏は、そもそも現状有姿での引き渡し契約のため、瑕疵担保責任は負わないという認識を持っていました。そして、話し合いが平行線をたどる中で、A氏が第三者にホームインスペクションをしてほしい旨の申出をしたため、調停人がホームインスペクションの専門家を帯同し、A氏、B社及びC氏の立会いのもと住宅診断が行われました。
























