幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 65/100 戸惑う〝老年期〟 心は変えず形を変える
住宅新報 2019年10月22日 号 19面
連載: 幸福論的「住宅論」

平均寿命が80歳を超え、リタイア後は〝余生〟ではなく、人生の一時期としての「老年期」に変わった。どう生きるべきか、青年期、壮年期にも増して重要な時期と言えそうだ
安倍首相は内政の最重要課題は急速に進む少子高齢化問題だと指摘する。少子高齢化問題には様々な側面があるが、「長くなった老後をどう生きるか」という問題はかなり深刻である。「人生50年」といわれていた時代には現役を退いたあとの人生はまさに〝余生〟であり、その期間もせいぜい数年しかなかった。だから老後を特別に問題にする必要もなかったのである。
ところが、男女とも平均寿命が80歳を超えた今は、老後は余生どころではなく、少年期・青年期・壮年期などとあるように、人生の一段階として明確に位置付けられるべき期間となりつつある。しかも、それが人生の最終局面に直結しているものであることを考えると、人間にとって最も重要な期間と言えなくもない。にもかかわらず、日本人の高齢者の多くがその生き方に戸惑いを隠せずにいるのが実態である。
自己への信頼






















