高経年マンションの再生を考える 旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所主任研究員 大木 祐悟 ▶2 老朽化の要因 区分所有者の意識にも
住宅新報 2019年9月24日 号 3面
適切に施工され管理されていれば100年くらいの耐用年数はある鉄筋コンクリート造の建物でありながら、築後40~50年程度で建物の老朽化が進んでいるのだとすれば、その理由は建物の施工か管理のいずれか、あるいは両方に問題があると考えるべきでしょう。
(1) 施工について
コンクリートはセメントと砂と砂利と水で構成されている素材です。この中で、水とセメントについては一般にはセメントの量が多いほうがコンクリート強度は上がりますが、セメント量が多くなると乾燥収縮によりひび割れが起きやすくなるため施工管理に手間がかかります。そのため、強度は落ちてしまいますが、水の量をやや多めにして工事を進めることもあるようです。特に古い建築ではこうしたものも少なくないようです。
また、骨材の中で特に砂については、水洗いが不十分な海砂を使うとコンクリートの鉄筋を錆びさせることになりますので、このようなケースは耐用年数にも大きな影響を与えることとなります。
(2)管理について
施工に問題がなくても、建物を一定レベルで維持するためには定期的なメンテナンスが不可欠です。近年分譲されている多くのマンションでは、最初から長期修繕計画が策定され、長期修繕計画に見合った修繕積立金が積まれていますが、古いマンションでは長期修繕計画のないものも少なくありませんし、その結果として修繕積立金も不十分であるマンションでは、必要なメンテナンスさえ行われていないこともあります。ところで前号で示した、私の手元にある建替え決議集会の招集通知を分析したところ、22例中20例のマンションでは長期修繕計画が作成されていなかったことから、長期修繕計画がないことは少なくとも間接的に建物の老朽化につながっている可能性が高いことが考えられます。
一方で、修繕積立金についてですが、前述の建て替えマンション事例について1戸当たりの平均金額でみた修繕積立金を表に示してみました。この表によると修繕積立金が「0」あるいは、50万円以下といった過小な事例は少なくない半面、1戸当たり400万円を超えていたケースも2例、200万円を超えていたものとなると7例ありました。多額の修繕積立金残高があるマンションの中には、「大規模修繕をしていないからたまっている」ものもありました。このように考えると、定期的なメンテナンスをしてこなかった理由については、必ずしも修繕積立金不足だけではなく、区分所有者の意識も大きいように思います。
おおき・ゆうご=83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。現在は、旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所主任研究員、定期借地権推進協議会運営委員長、NPO都市住宅とまちづくり研究会理事ほか。日本不動産学会会員、都市住宅学会会員。借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題、生産緑地問題等を中心とした不動産有効活用と、マンション管理、マンション再生問題、被災マンションの復興問題等の講演や論説多数。
























