残したい情景~文化的歴史的所産を巡る~ 第18回 茨城県水戸市 一般財団法人 日本不動産研究所 下町を流れる備前堀 風情漂う歴史ロードへ一体整備
住宅新報 2019年9月10日 号 12面
水戸市は人口約27万人を有する茨城県の県庁所在地で、現在の中心市街地はJR水戸駅北側の台地状のエリアに形成されている。江戸時代の頃、水戸城は那珂川とその支流の桜川によって浸食された舌状台地の先端に位置し、台地の続く西側に武家屋敷(現在の三の丸、南町、宮町、大町など)や町屋(現在の泉町、大工町、金町など)などの城下町が広がっていた。
治水と新田開発 当該台地は馬の背状に狭かったため、現在の水戸駅の南東側の低湿地帯で埋め立て造成工事が行われ、新たな城下町が形成された。以来、台地部を「上町」、低地部を「下町」と称し、水戸城下町は上町と下町に武家地と町人地が存する双子町の構造となった。下町のうち、武家地は現在の城東に当たり、町人地(通称、下市)は現在の本町一帯に当たる。
下町は、那珂川支流の桜川や千波湖などの水辺に囲まれた地形で、昔から水害に悩まされていたが、水戸藩の手によって、現在の原形を形作るような那珂川沿岸の大規模な開発が行われた。工事の指揮を執ったのは、関東平野の治水や新田開発に携わったことでも有名な伊奈備前守忠次であった。下町及び周辺部の農村に対する用水と千波湖の氾濫による治水対策を目的として、大用水の開削が行われたのである。























