神戸で早川和男氏を「偲ぶ会」 追悼「居住福祉の祖」 「住まいは人権」受け継ぐ
住宅新報 2019年8月20日 号 9面

一周忌の節目に全国から多くの関係者や教え子たちが参列した
昨年、87歳で死去した神戸大学名誉教授で、日本居住福祉学会名誉会長・前会長、早川和男氏の遺志を語り合う「偲ぶ会」が8月3日、神戸市東灘区の御影公会堂で行われた。大学関係者や各界著名人、卒業生など約160人が参列し、それぞれに早川氏の業績と遺徳をしのんだ。
司会・進行は神戸大学・早川ゼミ4期生の児玉善郎氏が務めた。参列者へあいさつする予定だった喪主で妻の笑子さんが体調不良のため、代わって次男の二郎氏の妻が「お仕事は楽しそうでした。今日この日、皆様とお目にかかれ、主人は喜んでいると思います」と笑子さんの手紙を代読した。
黙とうの後には、早川氏の一生を映像で振り返るスライド上映があり、懐かしい思い出やエピソードに浸る人が多く見られた。スライド上には、95年1月に発生した阪神・淡路大震災で避難所として提供された御影公会堂の当時の映像と共に、震災の教訓を生かして災害が起こるごとに各地の被災地に足を運び現地でのフィールドワークや「居住福祉」の重要性を説いて回る当時の早川氏の躍動ぶりも映し出され、居住福祉の実現へ前進する早川氏の思いが映像としてよみがえった。
生前から交流の深かった宮本憲一大阪市立大学・滋賀大学名誉教授や住田昌二大阪市立大学名誉教授、内田勝一早稲田大学参与・名誉教授、重村力神戸大学名誉教授、塩崎賢明日本住宅会議理事長・神戸大学大学院教授が、それぞれの思いを込めて、追悼の辞を読んだ。発起人の一人である宮本教授は「次代を担う人材育成に情熱を注ぎ、居住福祉の発展に多大な功績を残された」と述べ、「情熱あふれる人だった」と語った。
日本住宅会議設立に早川氏と共に尽力した内田教授は「早川先生の学問の中心は理論的な勘と、机上ではなく好奇心を持って行動することにあった。その結果、住宅会議や居住福祉学会に結び付いた」と述べた。
塩崎教授は、「早川教授から根本・根底から考えることが一番大事だと教えられた。この影響を受け、私を含めて多くの研究生を育てられたことに感謝したい」と述べた。
また、岸本幸臣大阪教育大学名誉教授は、「早川先生の持つ広い人脈や豊かな発想、行動力が身につく方法を生前にすべて教えていただけなかったことは非常に残念だが、来世でも広い人脈を使って素晴らしい活動をされることに期待したい。併せて、我々を末永く見守ることをお願いしたい」とあいさつを述べ、献杯を唱和。懇談会に移り、各自それぞれが故人の思い出を引き続き語り合った。
閉会に際しては、長男の潤一氏が、「父と共に長い間、志を共にしていただいた皆様へ、家族一同心よりお礼申し上げます」と返礼を述べ、「偲ぶ会」は滞りなく終了した。
早川氏は、旧建設省建築研究所室長などを経て神戸大学教授に就き建築学者として多くの後進を育てた。長崎総合科学大学特任教授や日本福祉大学大学院客員教授なども歴任。93年に「居住福祉の論理」で今和次郎賞を受賞するなど、「住まいは人権」の理念のもと「居住福祉」の概念を構築、住宅・土地問題にライフワークとして取り組む日本の「居住学」の権威だった。






















