試金石「ワーケーション」創造の地 ▶上 高まる企業ニーズ 地元行政も支援 テナントへソフト提案充実
住宅新報 2019年7月9日 号 4面
地所、南紀白浜に施設開設
ワーケーションを実施する企業にとっては、「ワーク」に焦点を当てるか、「バケーション」に焦点を当てるかで、その位置付けが変わる。「ワーク」に焦点を当てると、都会の喧噪から離れてリラックスしながら仕事をすることで、創造性の発揮を期待する働き方になる。一方、「バケーション」に焦点を当てると、有給休暇の効率的な消化や、仕事をした後に観光を楽しんだり、家族と一緒に滞在して休暇を過ごすなど、仕事をこなしながらリフレッシュする効果が期待できる。
三菱地所は5月7日、和歌山県所在の白浜町第2ITビジネスオフィス内に整備したワーケーションオフィス「WORK×ation Site(ワーケーションサイト)南紀白浜」を開業した。同社は、和歌山県と白浜町が推進するワーケーション事業へ参画。同社が1区画を賃貸し、全国のテナントを対象にして利用を募った。同社によればテナント以外からも問い合わせがあり、新たな施設ができるタイミングで対応を検討するという。
同施設の面積は約60m2、最大16人が利用でき、プロジェクターやホワイトボード、プリンター、ディスプレイ、文具などをそろえている。1日1社が専有し、料金は1日当たり10万円(税別)だ。
南紀白浜空港から車で約3分。朝7時25分、羽田空港発の飛行機に乗れば、朝9時には現地に到着することが可能だ。利用の仕方は、チーム合宿や短期集中合宿、CSR活動などを想定。同社によれば、実際の利用では、リクルーティングなど想定外の使われ方もしていたという。
ニーズは想定以上
ワーケーションは、同社が所有・管理するビルのテナントに対するソフト提案の一つ。新たな提案を考える中で、約1年前に和歌山県から同社に相談があり、検討を重ねてきた。
テナント企業がワーケーションに取り組むのは、生産性を上げ、新たなビジネスを生み出しやすい場所へのニーズがあるからだ。同社が南紀白浜を選んだのは、都心や宿泊地・観光地へのアクセスの良さ、行政の協力に加え、外資をはじめとするIT企業の集積が進んでいることがある。ワーケーションを実施する企業にとって、同施設は「研修所や保養所のシェアリング」(松本純平ビル営業部副主事)になっているとみている。自社保有の研修所や保養所は他の社員や役員が同時期に利用するなど社内環境であり、また通信をはじめとするオフィス環境が必ずしも整っているわけではない。南紀白浜の「ニーズは想定以上だった」(同)とし、19年度中に新たに3拠点を整備する。
同社によるワーケーションは宿泊を別にしている。観光や宿泊で地元の経済に貢献するためだ。一方、都心部に拠点を置く企業が、地域課題の解決に向けてワーケーションを活用する試みが長野県茅野市で始まっている。次回は、都市と地方を結ぶ取り組みを取り上げる。
























