ニュースが分かる! Q&A パナソニック・トヨタ自動車の住宅事業統合の背景は? IoTや次世代移動で危機感 まちづくりに活路
住宅新報 2019年6月18日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

5月9日の発表会に登壇したトヨタ執行役員の白柳正義氏(左)とパナソニック専務執行役員の北野亮氏(右)
後輩記者 お笑い芸人と人気女優がスピード結婚のニュース。本当、驚きました。5月のパナソニックとトヨタ自動車の住宅事業統合の発表も驚きましたけど。
先輩記者 少しは専門紙記者らしいことを言うようになったな。確かに5月にあった日本を代表する企業2社による発表は驚いた。統合は、来年1月と話題のスピード婚並みの早さだしな。裏を返せば、トップ企業同士の危機感がそれだけ強かったということだ。
後輩 どういうことですか?
先輩 危機感には、2つの意味がある。まずは、IoTや次世代移動の分野で、日本は出遅れているという危機感。もう一つは、国内の住宅市場の先行きに対する危機感だろう。
後輩 アメリカのグーグルが自動運転に参入したり、中国も次世代通信規格「5G」を中国国内で本格化しようとしていますしね。
先輩 そうなんだ。こういった分野は、これからのまちづくりに欠かせないインフラになる。外資系に主導権を握られると、パナソニック、トヨタ自動車と言えど国内の成長分野を逃すことになるばかりか、海外展開も難しくなるからね。
両社は、まずは国内のまちづくりの分野で最新技術を投入して、ノウハウの蓄積や基準づくりを進めて、ゆくゆくは海外でのまちづくりの展開も視野に入れているのかもしれないな。
後輩 なるほど。もう一つの住宅市場への危機感は、少子高齢化で国内の新築住宅ニーズが減るということですよね。
先輩 もちろん、そういうことだが、単純に新築住宅のニーズが減るとは限らない。住宅ストックの状況を見ると、質の高い住宅は十分とは言えない。供給総数は減少するかもしれないが、建て替えを進めるなど質の高い住宅ニーズは、これからも見込めるだろう。
パナソニックホームズ、ミサワホーム、トヨタホームを合わせると、戸建て住宅の供給数は約1万7000戸と住宅業界トップクラスになる。ただ、各社とも営業エリアや営業手法、工法が違うから、うまく調整していかないと、単なる〝膨張〟になってしまうかもしれない。ここは丁寧にやっていく必要があると思う。
後輩 まちづくりが成長分野という根拠は、質の高い住宅へのニーズという部分にありそうですね。
先輩 そうだな。だが、それだけじゃない。まちづくりだから、住宅だけでなくオフィスや商業施設、各種インフラも含まれる。そこにパナソニック、トヨタ自動車のテクノロジーを注ぎ込むことで、住宅にも競争力が付くと期待されている。
住宅メーカーとして考えても、個々の住宅の質を高めていくという従来のビジネスの延長線上だけでは成長に限界がある。だから、まちづくりは、住宅メーカーが新たな成長分野と捉えているんだよ。
大手不動産や鉄道会社だけでなく住宅メーカーも、次世代移動サービスのMaaS(マース)の実証実験をやっている。IoTに関しても、大手不動産が次世代通信規格の5Gを活用した防災訓練の実証実験を行ったり、住宅メーカーも賃貸住宅契約にブロックチェーン技術を活用したり、スマートハウスの機能安全に関する国際標準規格策定の実証実験に参加したりしている。
これからのまちづくりに関しては、不動産企業も住宅メーカーもアプローチの仕方に違いがあっても目指しているところは同じだと思う。
後輩 お笑い芸人は、結婚会見で株を上げましたけど、住宅事業統合でパナソニック、トヨタ自動車の株も上がるといいですね。






















