居酒屋の詩 (54) なにものかを示さんとする秘伝の香 路地に香るはあじさいの花
住宅新報 2019年6月11日 号 11面
連載: 居酒屋の詩

「とりかわ」と書かれためずらしい赤提灯がぶらさがっている。まだ夕方4時前だが「準備中」ではなく「営業中」とあるのがうれしい。居酒屋がひしめく神田三崎町界隈だが、日の高いうちから営業している店は他には「銀ダコ酒場」ぐらいか。今頃の蒸し暑い季節になると、早めの酒にこそ風情がある。
ここは、半年ほど前に開業した焼き鳥の店「かわ屋・水道橋店」。名物の「かわ」は仕入みに6日間も掛ける秘伝の製法。香ばしく焼かれた皮はタレ味だが、他の部位はすべて塩と決まっている。「たかが焼鳥、されど焼鳥」がコンセプト。味はどれも一級レベル。ごまサバなどの手料理もある。店長の久保範明氏はスリムな体に職人魂を宿した精悍な雰囲気。40歳の男盛りである。






















