地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (96) まちやどが地域を変える(2) 東京・千駄木の古民家宿、誕生ストーリー
住宅新報 2019年5月28日 号 3面

普通の古いアパートを改修した「hanare」
萩荘の思い出が原点
まちやど協会の代表理事である宮崎晃吉氏(HAGI STUDIO代表取締役)は、本業は建築家で、更に最近では拠点である東京の千駄木界隈で古民家のまち宿や古民家カフェの運営まで携わっている。古民家再生をテーマに、地方からプロジェクトの依頼が来ることもあるそうだ。
宮崎氏が手掛けた千駄木にある「hanare」だが、その原点になるのが、「HAGISO」だという。もともと学生時代に住んでいた古いアパート「萩荘」が、東日本大震災を機に壊されて駐車場になる予定となり、そこで最後に「お葬式」というイベントをやった。すると1500人程が3週間のうちにやってきて、オーナーさんの気が変わったそうだ。リノベーションを託され、カフェとギャラリーになった。
すると、ここが街のハブになり、同氏はここを中心にまちづくりをやったら面白いと思いついた。同氏が住んでいた当時、風呂なしだったが、近隣に銭湯があり、カフェもあり、外に出て行けば楽しいエリアだと実体験で知っていたからだ。この界隈を回遊する仕組みにすれば、ゲストも喜び、地域のお店も喜ぶと。
離れたレセプション
しかし、宿泊施設がなかったので同氏が空き家を探したところ、ちょうどめぼしい物件を見つけ、登記を調べてみると福井の方だったので、手紙を出して貸してもらえるようにお願いした。
築50年の家をリノベーションし、11人が泊まれる5部屋の宿が生まれた。それが「hanare」だ。宿のレセプションは「HAGISO」の2階にあり、十数メートルの距離にある。オリジナルマップを作って宿泊者に配布して、街のことを説明するコンシェルジュ機能となった。イタリアのアルベルゴ・ディッフーゾ協会で、hanareはヨーロッパ以外で初めて認定された宿になったのだ。
地域の体験が魅力
hanareの予約はブッキング・ドット・コムからの申し込みが多い中、1割は宿泊客からの紹介で直接メールが来るそうだ。人気の理由は、そこでしかできない体験があるからだろうと宮崎氏。なるべく外で食事、体験してもらい、地元の日常のリアルなものを味わってもらうことで利用者の満足度を上げている。それが紹介につながったのだろうと見ている。
また昨年は、グッドデザイン賞を受賞し、高い評価を認められた。






















