地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (95) まちやどが地域を変える(1) まちやど協会設立、コンセプトを共有
住宅新報 2019年5月21日 号 3面

西日本初のまちやど協会のシンポジウムが、18年に広島県三原市で開催
交流が旅の目的
旅行のスタイルが変わりつつある。一昨年前、デンマークのコペンハーゲンでは観光振興のコンセプトを、エンド・オブ・ツーリズムと掲げ、これまでの観光だけの時代は終わると宣言をしたのだ。つまりそれは、外から旅行者を呼んで外貨を稼ぐことにのみ主眼を置くことはやめ、旅行者がローカルの人々と深いコミュニケーションをとり、本質的に理解し合える取り組みを目指そうというものだ。
地域に循環する仕組み
それと呼応するかのように、国内でも新しい宿のあり方が広がっている。一つは「まちやど」というスタイルだ。既に「まちやど協会」が存在し、まちやどについて定義付けをしている。街を一つの宿と見立て、宿泊施設と地域の日常をネットワークさせ、街ぐるみで宿泊客をもてなすことだという。まさに新しい街のコンシェルジュ機能である。特に海外から来たお客様には、地域の日常的なことを体験できる。なるべく夕食を宿ではなく、街中でしてもらうことで、地域にお金が落ちて、地域内経済が循環するメリットもあるという。
事例としては、イタリアではアルベルゴ・ディッフーゾ協会があり、こちらは、90年代から始まっている運動だ。アルベルゴ・ディッフーゾとは、イタリア語で「分散した宿」という意味があり、これまでの建物一つに完結していたレセプション、ロビー、客室、朝食ルーム、レストランなどのサービス空間を街全体に分散させた宿泊施設形態の一つだ。
ネットワークづくり
まちやど協会の理事長である宮崎氏が、同協会を立ち上げるきっかけとなったのが、自身が手掛けた東京・千駄木にある15年開業の宿「hanare」だった。その設計過程で、全国をリサーチした。すると同じような考えで取り組んでいる宿が全国にあることが分かってきた。その仲間がつながり、17年6月に「日本まちやど協会」が立ち上がった。
彼らの多くは、もともと「まちやど」をやりたくて始めたわけではなく、必要だと思えたから始めているそうだ。そんな仲間を掘り起こすために、協会を立ち上げたことで他にも誘いやすくなった。定義はあるものの、ガチガチにしないで、まずはいろいろな仲間を増やしたいと考えている。地域を巻き込んだ宿の在り方が、今後、注目だ。






















