日銀 金融システムレポート 不動産貸出、29年ぶり「過熱」 市場全体のバブルは否定
住宅新報 2019年5月1日 号 3面

不動産業向け貸出の対GDP比率。残高を示すラインが、〝トレンド〟から一定範囲の均衡エリアより上方に外れている(日銀「金融システムレポート」より)
日本銀行は4月17日に公表した「金融システムレポート」で、金融活動指標における不動産業向け貸出の対GDP比率が、バブル期の90年以来初めて過熱を示す「赤」へと転化したことを明らかにした。
同レポートは日銀が国内の金融システムの安定性について分析することなどを目的に、年2回発行しているもの。この中の金融活動指標(ヒートマップ・今週のことば)で、14ある指標のうち、不動産業向け貸出残高をGDP(国内総生産)で割った指標が今回過熱感を示した。ほかの13指標は過熱でも停滞でもない「緑」となっている。
同レポートによると、不動産業向けの新規貸し出し自体は直近1~2年減少傾向にあるものの、残高の対GDP比率は上昇傾向にある。大型の不動産取引業向けが中心だったバブル期と異なり、近年の不動産業向け貸出はREITや不動産ファンド、個人による貸家業など中長期投資向けが中心であるため、銀行貸出全体の伸び率を上回るペースで残高の上積みが続いている様子だ。
一方、「地価」や「不動産業実物投資」の対GDP比率は均衡傾向の「緑」であり、不動産市場全体の過熱感は見られず、日銀は「我が国の不動産市場全体が、80年代後半のバブル期のような過熱状態にあるとは考えにくい」と分析する。ただし中長期の空室増加や賃料下落といったリスクもあり、将来の物件需要に対して過大投資となっていないかという点は注意していくべきだとした。
また、地域金融機関の貸し出し全体に占める不動産業向け貸し出しの比率が上昇を続けていることも、今回の結果の背景にある。これについても、賃貸業向けの貸し出しに積極的な金融機関ほど自己資本比率が低い傾向があることから、「不動産市場を巡る脆弱性を注視していく必要がある」(日銀)と警鐘を鳴らしている。






















