地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (90) どんな地域にも魅力は眠っている(2) 熱海のV字回復は、自信を持つことから
住宅新報 2019年4月9日 号 3面

体験ツアーを企画し、V字回復した熱海市
Uターンの若手が行動
最近の熱海は注目度が高まっていて、ホテル等に大きな投資も始まっている。かつては、〝終わった街〟とも言われるほど、ホテルは次々と撤退して廃墟化。シャッターが閉まったままの通りも増えていた。そうなると、街全体に活気がなくなり、暮らしている人たちも自信を失っていった。
しかしここ最近、ついにV字回復が始まったのだ。今のところ、外国人観光客はそれほど多くはないが、増えつつあり、各施設ではその取り込みを積極的に進めていきたいという。そのV字回復の立役者の一人にNPO法人atamista代表の市来広一郎氏がいる。もともと熱海生まれで、大学院を卒業後、東京でビジネスコンサルティングをする会社に勤め、07年に熱海に戻ってきた。子供のころは観光客でにぎわう街だったのが、Uターンしたころは、ますます寂れた街だと感じたそうだ。
地元のためのツアー
そこで、同氏が始めたことは、地元の魅力を再発見して、自信を取り戻そうとした動きだ。それは地元の人に向けた熱海のファンづくりだった。具体的には地元の人のためのツアーをつくり、数年、活動して、1カ月間に70種類以上の体験ツアーを企画するまでになった。「熱海温泉玉手箱(オンたま)」という企画で、熱海市観光協会、熱海市などと協働で、プロデュースを担当した。体験交流型のイベントで、「路地裏を案内するまち歩きツアー」「文人、政治家などが愛した熱海の別荘地巡り」「五代目直伝、ひものはこう作る!ツアー」など、ジャンルは多岐にわたっていた。
「熱海の魅力は海、山、温泉だけでなく、そこに住む地域の人たちも財産だ」と市来氏。「地元の商店街や熱海に関わる人たちがパートナーとして、移住者や外から来た参加者に熱海の魅力を伝えていることが「オンたま」盛況の理由だと言う。
地域とつながる宿
このような活動の中、なかなか市来氏は自分が泊まりたい宿がないことに課題を感じ、3年前にゲストハウスを開業した。そのゲストハウスの向かいに魚の干物屋さんがあり、宿泊者はそこで魚を買ってきて宿で焼いて食べる。宿はご飯と味噌汁を提供するのみ。このようにすると宿泊者は必然的に街へ出かけていき、つながっていくようになった。今後は、観光と暮らしが混ざりあった熱海を目指すという。






















