一般財団法人日本不動産研究(44) 地域資源を生かす ~まちづくりからインバウンドまで 山口県 萩往還 萩と防府を結ぶ御成道 国庫補助で往時の姿に復元
住宅新報 2019年3月19日 号 18面
最近の観光において、名所を巡るほかに、地方の文化を実体験する参加・体験型の人気が高まっている。幕末から明治維新に向けて、討幕の中心的存在だった長州藩、その山口県の観光において、吉田松陰・高杉晋作などの維新の志士達が駆け抜けた歴史を感じながらウォーキングできるのが「萩往還」だ。
参勤交代により整備
「萩往還」は、日本海に面した萩城下町(唐樋札場/萩市)から、山口市を経て、瀬戸内海の港町、三田尻(防府市)をほぼ直線で結ぶ全長約53キロ。毛利氏が1604年(慶長9年)萩に築城後、江戸への参勤交代での「御成道」として開かれ、道幅は二間(約4メートル)。参勤交代の行列は約1000人規模で、人馬往来に必要な御茶屋・本陣・旅籠等が並び、札場・国境碑・番所・一里塚等が整備された。その後、維新の改革によって藩政が消滅するとかつての往来はなくなり、さらに昭和に入ると自動車道が別ルートに出来て、「萩往還」は廃道となる所もあり、忘れられていった。
歴史の道百選に
国庫補助事業、保存整備事業等を経て、往時の姿に復元整備されており、96年には文化庁選定「歴史の道百選」、04年社団法人日本ウオーキング協会選定「美しい日本の歩きたくなるみち500選」(萩~山口間)にそれぞれ選ばれた。観光では複数コースが紹介されており、語り部がガイド同行するものもある。地域交流ではフォトコンテスト、ワンデーウォーク等も開催されており、またマラソンコースにもなっていたが、18年「第30回山口100萩往還マラニック大会」を最後に終了した。
萩から山口に向かって順に、「一升谷の石畳」、「佐々並市」、「一の坂四十二の曲り」の名所が続く。
「一升谷の石畳」は、国道262号から大きく外れた山道で、往時の石畳が保存されている。川のせせらぎを聞き、季節毎の風景も楽しめる。約3.5キロの登り坂で、「ここから炒豆を食べ始めると、坂を登り切るまでにちょうど一升無くなるから」ということから命名されている。
8合目からの石畳は綺麗に整備されている。山道を出て、地域集落の生活道に繋がる所では猪等防護柵が施されており、「通った後は、必ずゲートを閉めて下さい。」という注意書きがある。
保存地区の宿場町
「佐々並市」は宿場町として栄え、国の重要伝統的建造物保存地区になっている。一軒だけ旅館があり、昔造りの「佐々並豆腐」が評判だ。また、各家それぞれの「むかし話」コメントが表示されている。
「一の坂四十二の曲り」は、県道62号から少し山道を入る九十九折り急勾配の下り坂となる。県道沿いに駐車場が設置されているが、下りきった後、駐車場へ戻る場合は、思い出深い名所となる。付近の県道反対側には「一の坂御建場跡(六軒茶屋跡)」があり、比較的長時間休憩する際の施設が復元されている。
「萩往還」の内、防府市においても「防府天満宮」、「三田尻御茶屋(英雲荘)」等多数あり、また山道・石畳等だけを抽出しても歴史・自然を感じながら十分に楽しむことが出来る。
(山口支所、不動産鑑定士・後英雄)

























