ニュースが分かる! Q&A 個別電気契約の解除 特別決議では行えず 最高裁「専有部に関する事項は無効」
住宅新報 2019年3月19日 号 18面
連載: ニュースが分かる!Q&A
記者 何だ何だ、プリプリして。
友人 おかしいわ。どうして、マンションの住民が総会で決めて、決議要件も整っているのに無効になるの。
記者 ああ。札幌のマンションで高圧一括受電方式を採用できなかったことに対し、不法行為を認めた原審判決を取り消した件だな。
友人 一体どういうこと?
記者 簡単に概要を言うと、札幌市内の区分所有建物5棟、総戸数544戸のマンションが舞台だ。各戸の専有部分の電気料金を削減するため、管理組合が電力をまとめ買いして住民に安く供給する高圧一括受電方式を採用することを決めた。
友人 ちゃんとした決議でしょ。
記者 4分の3以上の決議、いわゆる特別決議だ。ただ、高圧一括受電方式を採用するには、現在、住民が電力会社と結んでいる個別電気契約を解約する必要がある。これは区分所有者全員が解約しなければならない。そこでこのマンションの管理組合(実際は管理組合法人)は規約を変更し、電気供給規則を設定する旨の決議をした。この規則の中に、高圧一括受電方式以外の方法で、電力を供給してはいけないと定めており、実質的に全住民に個別契約の解約を義務付けるものだった。
友人 ちゃんとやってるじゃない。
記者 ところが、区分所有者のうち2人が解約をしなかった。結果、高圧一括受電方式の採用を断念せざるを得ず、特別委員会委員としてこの方式採用を積極的に進めてきた区分所有者がその2人を訴えたんだ。
友人 どうして、その2人は反対したの。
記者 高圧一括受電方式を採用する際に、工事が必要となる。その時に停電などが起こることがあるなど、運用に問題があると考えたようだ。結果、採用されなかったことで、「本来なら削減できていたはずの電気料金が削減されないという損害を被った」というのが原審原告(被上告人)の主張だった。札幌地裁、札幌高裁とも、個別契約の解約を義務付けた「特別決議」は区分所有法上の決議として効力を持つから、原審被告(上告人)の行為は決議に基づく義務に反し、不法行為を構成すると判断していた。
友人 そうよね。みんなで決めたことには従わないと。
記者 しかし、最高裁はこの議決に効力がないとし、判断を覆した。
友人 そこよ。一体何で判断が変わったの。
記者 そもそも、規則の制定や電力供給契約の変更は何のためだった?
友人 高圧一括受電方式を採用して、電気料金を安くするためよ。安くなるならいいじゃない。
記者 その電気料金って、何の電気料金?
友人 決まってるじゃない。マンションの住民が住んでいる各戸で消費している電気よ。
記者 それって、専有部分でしょ。
友人 そう。
記者 何で、専有部分の契約について、管理組合が口出しできるわけ?
友人 そ、それは……。
記者 そう。最高裁はこう判示している。「本件決議のうち、団地建物所有者等(マンションの所有者または賃借人)に個別契約の解約申入れを義務付ける部分は、専有部分の使用に関する事項を決するものであって、団地共用部分の変更またはその管理に関する事項を決するものではない」と。したがって、この部分は区分所有法上の決議として効力を有するものといえないというんだ。
友人 せっかく、みんなで決めたのに。少数の人の意見が通ったら、これからのマンション自治はどうなるのよ。
記者 内容が問題だということだよ。これが共用部に関することだったら、当然、決議は有効だ。管理組合はいろんなことを決めていかなければいけないけど、個人の所にまでは踏み込めないのさ。今後、インターネットやケーブルTV設備などを導入しようとするマンションが増えていくだけに、合意形成の重要さを認識しないといけないな。
友人 しょうがない。コミュニケーションが大事ね。
記者 そこでだ。我々ももっとコミュニケーションを取って、愛ある合意を形成しないか。
友人 ムリ!






















