居酒屋の詩 (41) 輪転機今こそ響けうれしくも 東京版に雪のふりいづ
住宅新報 2019年3月12日 号 19面
連載: 居酒屋の詩
新聞記者の仕事は、東京版(最終版)の輪転機が回り出すと、やっと一区切りつく。新人だった頃、初めて刷り出しに立ち会ったときの感動は忘れない。部長がOKを出すと、ゆっくりと回り出した輪転機が徐々に回転速度を上げていく。苦労して書いた記事が全国の読者に運ばれていく。その晴々しさと同時に、何かが終わったような淋しさが降りてくる。
刷り上がったばかりの新聞を持って、編集仲間と会社近くの居酒屋に繰り出す。1週間の中で一番楽しく達成感に満たされるひとときだ。当時の行き付けだった「さざえ」は、今はもうない。ただ、その場所から程近い「蔵よし・虎ノ門店」に先日初めて行った。
店長によると、「この界隈でうちほど日本酒の銘柄が豊富な店はない」という。数銘柄試したが、どれも旨かった。魚介中心の料理もいい。女性店員も親切だ。
上掲は明治・大正時代に読売と朝日新聞の記者だった土岐善麿の歌。居酒屋で酒を飲んでいたかどうかは分からないが、新聞記者という職業そのものが舞い落ちる雪片のような詩情をもっている。






















