おとり広告 業務直結の対策がスタート 一斉調査で広範囲を網羅 ポータルサイト掲載停止が抑止力に 「させない・できない」環境強化
住宅新報 2019年3月12日 号 11面
おとり広告や不当表示といった違反広告は、この数年減少している。14年度から違反物件情報を共有しているポータルサイト広告適正化部会(アットホーム、CHINTAI、マイナビ、LIFULL、リクルート住まいカンパニーの5社)の共有結果によると、17年度に共有された違反物件総数は2781件で、前年度と比べ31件減少した。
地方で増加
ところが「おとり広告」は全体の79%に当たる2193件となり、前年度より217物件増加。これまで「おとり広告」が多かった東京都や大阪府では減少しているが、福岡県で2.5倍以上に増加した上、これまで顕在化してこなかった東北・四国地方での違反物件が共有され始めたことが影響した。また、不動産情報サイトよりも、自社のホームページによる違反広告が増えている傾向にもあるという。
一方、首都圏公取協が17年度に処理した177件のうち、違反の程度が重大と判断し「厳重警告・違約金」措置を講じた件数は59件とマイナスに転じた(前年度62件)。
ネット広告違反が9割超
このうち免許取得後5年未満の加盟事業者による事案は全体の47%に当たる28件だった。またインターネット広告による違反は93.2%(55件)と、4年連続で9割を超えている。今年度の件数はまだ出ていないが、2月末時点で45件(ネット広告比率100%)であることから、2年連続で前年度より減少すると予想される。
2年連続の減少に寄与したのは、17年1月から始めた同部会メンバーなどが運営する不動産情報サイトへの原則1カ月間以上の広告掲載停止の措置。参加サイトも、全日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会連合会の2団体、サイト運営会社4社(4月に組織改変に伴い1社減予定)が加わり、合計11サイトで対応している。
停止期間中は他サイトへの新規入会もできないため、「違約金に加えサイト掲載停止は、事業者にとっては実務に直結する部分なので影響が大きい」と首都圏公取協・佐藤友宏事務局長は話す。
更に新たな取り組みとして、部会メンバー5社に不動産広告調査業務の一部を委託し、不動産情報サイトの賃貸物件広告に対する一斉調査を実施した(表)。
細かく調査
17年度は1回目に「おとり広告」の疑いがある事業者を対象とし、2回目は首都圏公取協で過去に措置を講じた事業者の中で疑いがある事業者と、1回目の調査で措置対象だった事業者の中から任意で選出した事業者を対象に調査。その結果42事業者に違反が認められたため、通常調査後に行う事案処理と同様に、違反内容に応じた措置を実施した(17年度処理数39事業者、うち厳重警告・違約金措置は8事業者)。
首都圏公取協では「より多くの広告が網羅でき、調査の精度が高まるという意義は大きい」と指摘。また部会としても「5社で同時に実施することで調査漏れが減るとともに、物件・事業者の重なりが明確になりサイトの使い分けなども含めて細かく調査することができた」と、手応えを感じている。
定点観測も
すでに18年度についても調査地域を変更して実施済みで、今後は未然防止と対策の効果を確認するための定点観測を含めた調査方法も検討しながら、継続的な実施を目指していく方針だ。
これらの取り組みは他地区公取協でも広がり始めており、近畿地区では不動産情報サイトの広告掲載停止措置に続き、19年度から一斉調査も行うことを決定。九州地区も同措置を18年8月度から開始しており、更に東海地区でも、19年度からの実施に向けて最終調整中だという。
首都圏公取協では「おとり広告や不当表示をしないという意識作りのための研修会に加え、こういった能動的な取り組みを通じて違反広告をさせない、できない環境を作っていくことで違反物件数・違反事業者数の減少につなげていきたい」とし、これら施策による抑止力の拡大に期待を寄せている。

























