地元密着、愛される会社に エヌアセット(神奈川県川崎市) 空き家をレンタルオフィスに
住宅新報 2019年2月26日 号 23面
エヌアセットは、08年に宮川恒雄社長が川崎市高津区で創業し、従業員数は61人(グループ全体100人)。賃貸・売買仲介事業以外に不動産投資コンサルティングやシェアハウス、レンタルオフィス、保育園、海外事業など多くのグループ会社を持ち、地域密着型経営で地域ナンバーワンを目指している。
空き家をレンタルオフィスに
17年12月に築90年の空き家を改修し、レンタルオフィスやコワーキングスペースに活用した「nokutica」(ノクチカ)をオープンした。
溝の口駅徒歩2分、以前は産婦人科や学習塾だった昭和レトロ風の洋館。オーナーの取り壊しをせずに建物を有効活用したいとの意向を受け、コワーキングを中心としたレンタルオフィスを提案した。改修費と設備費は約2500万円で、同社と地元の大家が共同出資した同社のグループ会社「のくちのたね(株)」で、1棟借り上げて運営している。
5部屋あるレンタルオフィスは、5畳弱から12畳の広さで、賃料は約4~12万円。24時間利用可能で、オープン時からの入居者で満室だ。
コワーキングは、最大14席の2階と1階共用ラウンジの2つの広い部屋を利用できる。利用時間は午前8時~午後11時。月額料金は、フルタイムが1万6000円、平日夜と土日祝日プランが1万2000円、平日昼プランが1万円の3種類。登録者は60人弱で、現在利用登録の空き待ちが8人。
他にセミナーや会議などに利用できるレンタルスペースが2種類(6坪と3坪)あり、料金は30分1000円と500円。1階には、オープン時からコーヒースタンド「アベコーヒー」(2坪)が入居している。
ノクチカ担当の松田志暢さんは、「産婦人科で出産した方や生まれた方、塾で学んだ方など建物に思い出を持つ地域住民が多く、オープン時には感謝された」と話す。
「レンタルオフィスは、オープン前に地域活動で知り合った地元のITシステム会社やインテリアデザイナー、映像制作ディレクターなどにオファーして5室満室状態でスタートした。コワーキングは、平日昼プランの利用者が最も多く、『自宅以外の仕事場が欲しい』というニーズが想像以上にあった」と説明。。
また、アベコーヒーについて「紹介でコーヒー店を始めたい人が見つかった。建物との雰囲気も合い、地域の方との交流も増え、ノクチカ利用者にとっても付加価値となるテナントだ。手探りで始めた事業だが、思いが人をつないでいる」と語った。
保育園事業
女性社員の堀杏菜さんと田上恵理さんからの「子供を産んでも働ける環境をつくりたい」との発案で、18年4月に「こころワクワク保育園」(定員32人)を東急田園都市線高津駅徒歩1分の建物1階に入居し、開園した。
内閣府の企業主導型保育事業の助成金を活用し、社員と地域住民が利用できる。運営はエヌアセット本社で、保育士など従業員15人(正社員6人)を一から採用した。同保育園では、人気の音楽教室「カリヨン」や英語で五感を磨く「英語であそぼう」などのプログラムを実施している。
宮川社長は「保育園事業だけで収益を考えているわけではなく、高津区は待機児童が多いこともあり、質の良い保育園があることは、住みたい街へとつながると考えている」と説明する。
地元により密着
「梶ケ谷さくらまつり」などのイベント開催や、農園所有のオーナーと協力して本店駐車場で野菜市など、地域活性化へ積極的に取り組んでいる。また、生活総合情報投稿サイト「住もうよ!溝の口!」を開設し、地元のお店や病院紹介等の情報発信している。
宮川社長は、地域活動について「不動産業としてお客様、オーナーの満足度を上げて足元を固めると同時に、大手と地元密着との二極化が進む中、うちは地元により密着し、地元に愛される会社になることで、もっと強くなれると確信している。地主やオーナーとの信頼関係があってこそ、保育園のテナント利用や空き家活用事業もできている。地域コミュニティ活動は、街の価値を高め、住みたい人、住み続けたい人を増やすことにつながる」と語る。
海外進出
11年9月にベトナム・ホーチミンに進出したグループ会社「エヌアセットベトナム」は、主に日本企業のオフィスと、日本人駐在員向けの住居の仲介・管理を行っている。
宮川社長は「ベトナムは親日国で勤勉な国民性。賃料は高いが、人件費は安いため進出した。15年から外国人の不動産売買が可能になり、日本人投資家向けに不動産コンサルティングも開始した。今後は、日本に進出する海外企業や訪日駐在員もターゲットにしていきたい」と話した。
社員の自主性
宮川社長は、保育園や海外事業などは社員の提案から始まったと説明し、「GOサインは自分が出すが、社員の自主性、主体性を重んじている。ベトナムも行きたい社員が手を挙げて行っている。野菜市も本店の店舗改装も、社員たちがプロジェクトを組んで始めた。社員がやりたいことができる会社で、主体性を持っている社員になってほしい。また、そういう会社でありたい。今後も地域密着、社員の自主性を重んじた経営を進めていく」と語った。 (池中隆)




























