幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇31 販売戦略と顧客ファースト 真実は〝現場〟にあり
住宅新報 2019年2月19日 号 11面
連載: 幸福論的「住宅論」

リフォームが済んだ物件の案内など不動産営業の現場には真剣なやり取りが飛び交う
住まいと幸福には密接な関係がある。しかし、住まいを提供する事業者が一歩間違うと、ユーザーや投資家(オーナー)を不幸に陥れる。〝かぼちゃの馬車事件〟然り、レオパレス21の「施工不良問題」然りである。この2つの事件に共通していることは、賃貸住宅の時代的役割や入居者が安心して暮らせる住宅とはどうあるべきかといった視点が欠け、企業の利益確保が優先されたことである。
そもそも、住宅という商品には他の商品にはない特性がある。ユーザーの生活基盤になっているという点である。だから、他のどの商品よりも住宅を扱う事業者の社会的責任は大きい。それゆえ、事件や不祥事を起こすのは論外で、普段の販売戦略、営業努力の仕方、サービス内容についてさえもそれらが本当にユーザーの幸福につながっているかどうかのチェックが欠かせない。
たとえば住宅の媒介市場では昨今、様々なサービス合戦が展開されている(2月12日号1面参照)。大手は建物・設備のチェック(インスペクション)、売却保証など売主向けのサービスを拡充している。VR版ホームステージングの導入も進んでいる。 それらのサービスに要する費用が売買契約成立時点で発生する媒介報酬によってあてがわれるとすれば、根幹の媒介業務に充当すべき部分が削られてしまわないのか心配である。更に、万一売買契約が成立しなかった場合の損失はどうやって補填されるのかという疑問もある。






















