価値を生むエリマネ、オフィスや住宅地で広がる 11年前の期待、実現へ 持続成長社会へ 価値創造を拓く
住宅新報 2019年1月1日 号 21面
人手不足や働き方改革に対応
東京の大手町・丸の内・有楽町地区は、「大丸有エリア」の略称で知られる。11年前の「エリアマネジメント推進マニュアル」にも業務・商業地の代表的事例として紹介された。大丸有エリアは三菱地所がリーダーシップを発揮。1980年代から90年代にかけて地権者組織(協議会)の設立や基本協定の締結、官民の懇談会の設置などを経て、ハード面であるエリアの再開発に着手した。一方、ソフト面からは07年にNPO法人大丸有エリアマネジメント協会を設立。これで協議会、懇談会、NPOのエリマネ体制が確立した。
それぞれの役割は、懇談会が各種ガイドラインを策定し、協議会がガイドラインを踏まえて行政などと連携してまちづくりを展開する。NPOは、公共空間である丸の内仲通りを使ったイルミネーションやストリートギャラリーといったイベントやセミナーの開催など、まちのにぎわいを生み出す活動を手掛けている。
更に、目的に応じた組織の設立や個別企業の取り組みで、エリマネ活動は拡大している。近年ではオフィスを中心としたエリア特性から、人手不足の解消や働き方改革といった新たな取り組みも始まっている。
三菱地所は丸の内エリアにおいて、ロボットを活用した実証実験を開始。清掃ロボットや警備ロボットなどを18年4月から導入している。同社では、19年度から本格運用を検討しており、エリア企業の人手不足解消を図る。
また、三菱地所は丸の内エリアをすべての就業者にとって働きやすいエリアとすることを目標に設定。英語で医療サービスが受けられる移動クリニックや子育て支援施設の設置、障がい者向けサテライトオフィスの運営などを通じて、エリア価値向上を図る。
住宅地の価値を維持
マニュアルに示された住宅地における代表的事例の一つに、大阪府交野市の「コモンシティ星田HUL―1地区」がある。JR学研都市線星田駅から約3キロメートルに位置する戸建て住宅団地。95年5月に竣工し、自治会とは別に組織された建築協定運営委員会が地区内の建築協定と任意である街並み協定の運営を行い、美化に努めている。
分譲後20年以上が経過した現在も活発なコミュニティ活動が続いており、美化活動を継続。それがきれいな街並みを維持し、空き家問題を発生させず新たな住民の流入にもつながっている。積水ハウスは住宅団地内に所有する建物の一部を、住民のコミュニティ活動の拠点として開放している。
東急電鉄の多摩田園都市構想に基づく住宅地開発の一つである「青葉美しが丘中部地区」も代表的事例に挙がる。東急田園都市線たまプラーザ駅から約800メートルに位置する戸建て住宅地。03年にマンション建設を防ぐ目的で建築協定をより強制力がある地区計画へ移行した。これに伴い、住民が自主的なまちづくりをするために04年「青葉美しが丘中部地区計画街づくりアセス委員会」を発足した。
12年、同地区を含むたまプラーザ北側エリアで、横浜市と東急電鉄は次世代郊外まちづくりに関する包括協定を締結。目指すまちづくりの考え方として、「コミュニティ・リビング」を提案した。これは住まいから歩ける範囲に買い物や子育て、コミュニティ活動など暮らしに必要な機能を空き家や空き地などに適切に配置して、連携させていくというものだ。
その具現化として、18年10月に分譲マンション「ドレッセWISEたまプラーザ」の低層部に「CO―NIWAたまプラーザ」をオープン。コミュニティ・カフェや認可保育園、学童保育、コワーキングスペースを設置して拠点とすると共に、一般社団法人がエリマネ活動を展開する。
未来に向けた企業戦略に
新たに着手する複合開発でエリマネ組織を作り、地域に開かれたコミュニティづくりを行う動きもある。野村不動産グループは18年10月に新たなまちづくり構想「BE UNITED構想」を公表。未来に向けた重要な戦略と位置付ける。
同構想では企業や学校などを含めた多様なプレーヤーによるソフト面の連携基盤を持つまちづくりを目指す。その第1弾の大規模複合開発「プラウドシティ日吉」(横浜市港北区)は、共有部分に活動拠点を設けるほか、地域の様々な活動をサポートする人材を野村不動産グループが提供し、エリマネ組織として一般社団法人を設立する。
平成も終盤を迎え、価値を生み出すエリマネは企業戦略に位置付けられるまでに重要性を増した。今後も、この傾向は変わらないだろう。

























