団体トップ・年頭所感 新しい時代へ向けて躍進を 消費増税対策、ユーザー目線、少子高齢化、国家資格化
住宅新報 2019年1月1日 号 13面
持続的で力強い経済成長を
菰田正信・不動産協会理事長 本年は、5月に新天皇が即位されて元号が変わり、まさに新たな時代の幕開けの年となる。我が国の足下の経済は緩やかな回復が続いているが、先行きについては、世界の政治・経済情勢の影響を受けて非常に不透明な状況にある。構造的には人口減少・少子高齢化が進み、10月には消費税率引上げが予定されているが、これを乗り越え、新たな時代にふさわしい持続的で力強い経済成長を実現しなければならない。
都市に求められる機能も変わってきており、都市の国際競争力を高め、世界中から人材・企業・資金・情報を呼び込むためには、ICTなどの技術革新をスピード感を持って取り込み、劇的に変化する社会や時代のニーズに的確かつ柔軟に対応したまちづくりを行うことが必要である。
優れた都市づくりや質の高い住宅の供給により、真に豊かさを実感できる社会の実現に貢献していきたい。
持続的な発展目指す
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 昨年8月、私は会長就任早々、安倍総理と既存住宅市場の活性化、空き家・空き地対策等について対談した。中でも地方経済再生に向けた新制度の創設、並びに宅地建物取引士への所有者情報の開示方策を要望した。また、地方銀行の不動産仲介業参入については関係各方面に断固反対との強力な要望活動を行っている。本年10月からの消費増税を踏まえ、19年度の税制改正では、需要の反動減がないよう万全の対策が講じられた。本会でも昨年10月から開始した「安心R住宅制度」等を活用し、既存住宅流通促進策を推進していく。
「ハトマークグループ・ビジョン2020」に基づき、組織基盤の維持・強化を図ると共に、より効率的な事業実施体制のもと、「みんなを笑顔にするために」、国民の住生活の向上と安心安全な不動産取引をサポートするため、各種事業を実施していく。
全日中期ビジョン策定へ
原嶋和利・全日本不動産協会理事長 喫緊の課題である空き家問題に対処するため、建物状況調査の実施や安心R住宅の普及促進等を通じて、住宅ストックの有効活用、流通拡大を図っていく。不動産流通に携わる私たちは適正な情報提供に努めると共に、地域行政との連携を図り、安心して暮らせる「街づくり」と「住生活環境づくり」に寄与していかなければならない。本会では、公益団体としての長い歴史の重みを実感しながらも、3万社会員の皆様と共に、これからの時代を見据えた組織体制の確立を目指す。会員ツールの機能拡充や研修内容の充実に取り組むほか、全日の今後のあるべき姿を示す「全日中期ビジョン」の策定に向け、検討を深めていく。消費者保護の徹底と国民の安心安全な住環境に寄与すべく、昨年よりスタートした「全国一斉不動産無料相談会」の定着を図るなど、公益目的事業をより積極的に進めていく。
建て替え、リフォーム両輪に
阿部俊則・住宅生産団体連合会会長 内需の柱である住宅市場の活性化が、経済の好循環を推進するための重要な役割を果たすものと考えている。今日、生活の基盤である住宅は高度で多様なニーズに応えることも求められている。一方、空き家の増加が問題となっているが、既存住宅のうち現行省エネ基準に適合するものは1割にも満たないなど、断熱性や耐震性、バリアフリー性などの改修を必要とする。建て替えとリフォームが両輪となって長寿命で良質な住宅が整備され、人々が自らのライフサイクル・スタイルに合ったものを選んで居住する、ストック型社会の整備にも取り組む必要がある。
前回の消費税率8%への引上げ後は民間住宅投資が落ち込み、既存住宅ストックの改善が遅れ、景気へも負の影響を及ぼした。この経験を踏まえ、当連合会では消費税率10%への再引き上げに伴う需要の落ち込みを防ぎ、平準化を図るために「住宅ローン減税の控除期間の延長」や「ポイント制度の創設」などを要望し、結果としてほぼ要望通りの形で各種対策が実施されることとなった。今後はこうした消費税対策の内容を正しく伝え、安心して住宅の取得やリフォームが行える市場環境の構築に取り組んでいく。
「約束と使命」果たす
芳井敬一・プレハブ建築協会会長 昨年は自然災害が相次いで発生し、各地で多くの被害をもたらした。この度の犠牲者の方々に哀悼の意を表し、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
今年は消費税率の引き上げが予定されており、日本経済への影響も懸念される。昨年末、政府では住宅ローン減税の3年延長や次世代住宅ポイント制度などの対策が決定した。当協会としてもこれらの施策の周知に努め、消費増税前の駆け込み増や、増税後の反動減の緩和に取り組んでいきたい。そして、「良質な建物をお客様に引き渡すこと」「建物がある限りフォローしていくこと」という2つの大切な「約束と使命」を果たせるよう、各種の人材育成事業を推進すると共に、関係方面へ促進の働きかけを行うなど、積極的な支援を行っていく。
業界の役割が非常に重要
高木茂・日本ビルヂング協会連合会会長 オフィスビルを巡っては、企業の働き方が大きく変わり、オフィスビルやオフィス空間に対するテナントニーズがより多様化、高度化してきている。こうしたニーズに対応するため、今後も人工知能(AI)やIoTをベースにした新たな技術やシステムに着目し、企業の知的生産性を支えるオフィスビルの進化につなげていかなければならない。ビル業界を挙げて対応していく。
日本の都市は、とくに東京は国際都市として機能をより高め、魅力を増していかなければならない。そういった観点からわれわれ業界の役割は非常に重要になってきている。
そうした重要な役割を果たしていくためにも、会員の英知とノウハウを結集しながら、充実した協会活動を展開していきたいと考えている。
投資対象の多様化目指す
岩沙弘道・不動産証券化協会会長 不動産投資市場は着実な成長を続け、上場・非上場を合わせたリート市場の資産規模は21兆円に迫っている。株式市場が不安定な動きを見せた際もJリートの投資口価格は比較的安定して推移し、長期安定的な利回り商品としての特性が浸透しつつある。
市場の更なる成長に向けた課題にも引き続き取り組んでいく。とりわけ、投資対象の多様化は資産運用の高度化の観点からも重要であり、ヘルスケアや観光等の成長分野の拡大促進、インフラへの投資に関する課題の絞り込みや解決策の検討、地方創生に資する投資の実現等、具体的な取り組みを進めていく。また、社会的要請であるSDGsの推進等、新たな課題にも積極的に対応していく。
当協会では不動産投資市場がオリンピック後も持続的に成長し、グローバルな投資市場として確固たる地位を築いていくことを目標に掲げている。市場の更なる成長を実現し、わが国経済を牽引すべく、使命感を持って諸課題に取り組んでいきたい。
消費者の信頼に応える
市川俊英・日本ツーバイフォー建築協会会長 本年は消費税率の引き上げが予定されている。住宅需要の落ち込みが懸念されるが、昨年末、政府において住宅ローン減税の控除期間の3年間延長、次世代住宅ポイント制度の創設等の措置が講じられることとなった。当協会としてもこれらの制度が活用されるよう努めていく。
我が国は高齢化が急速に進展し、豊かな住生活を営むためには良質な住宅ストックを形成して行くことが必要となる。
ツーバイフォー住宅は導入されて以来、高い性能で消費者の信頼を得ており、そうした信頼に応えストックの時代にふさわしい住宅・建築として発展させていきたい。
本年もツーバイフォー住宅・建築の供給を通じて再生可能な循環資源である木材の利用を推進し、低炭素社会の構築に貢献することも重大な役割として果たしていく。
良質なストック充実へ
市川晃・日本木造住宅産業協会会長 昨年は、全国各地で大規模な自然災害に見舞われた。日本は「災害大国」であるということを再認識させられた1年だった。被災地の一日も早い復興へ力添えとなるように取り組んでいきたい。
我が国の経済は、戦後最長の景気拡大期として、本年も引き続き緩やかに成長するものと予想されるが、実質所得の伸び悩みもあって、消費者マインドとしての実感には乏しさが見られる。
本年10月の消費増税に伴う駆け込み・反動減対策として住宅ローン減税期間延長を始め、受注の平準化を促す政策が実施されるが、住宅産業全体としては少子高齢化、労働力人口の減少、空き家の増加などの課題が山積し、とりわけ、住宅ストック整備の機運が高まっている。リフォームや建て替えにより、耐震性能や省エネ性能を備えた良質なストックを充実させることが急務だ。他方で既存住宅の流通市場を活性化させ、ライフステージに応じた住宅取得を可能にする環境も必要である。
消費増税により国民の税負担が高まる中、住宅取得の機会を奪ってはならない。今回の消費増税対策の効果に期待すると共に、引き続き多岐多重にわたる住宅税制の抜本的な解消、住宅消費税の恒久的な負担軽減も要望していく。
現場視点の提言続ける
榊真二・不動産流通経営協会理事長 昨年の不動産流通市場は、成約件数に伸び悩みが感じられたものの、概ね堅調に推移した。足元でも、既存住宅への需要には根強さが感じられ、本年も金融緩和や住宅取得に対する税制優遇措置等の政策のもと、底堅さが続くものと思われる。国においては既存住宅流通・リフォーム市場倍増を掲げ、昨年は建物状況調査の斡旋に係る説明制度などが新たに開始された。当協会はこれらの施策が流通促進に資するよう、その検討段階だけでなく実施後の現場での運用課題についても、消費者の目線、そして営業現場の視点から意見具申を行っていく。また、ローン減税の面積要件緩和など新たな住宅ニーズに対応する市場活性化策について、引き続き重点課題として提案していくと共に、裏付けとなる調査研究にも注力する。当協会は来年5月に創立50周年を迎えるに当たり、これからの不動産流通業の目指すべき姿についても考えていきたい。
恒久的な措置を
神山和郎・全国住宅産業協会会長 昨年は大きな自然災害に見舞われ、多くの犠牲者と甚大な被害がもたらされた。住宅に関わる事業者として国民の安全・安心を守る使命を再認識している。
住宅・不動産市場においては、住宅価格は長期にわたり高止まりしており、一次取得者層の購入能力から乖離した価格となっている。更に10月には消費税率引き上げが予定されており、影響が懸念される。引き上げ前後の駆込み・反動減対策を要望した結果、新たな措置が講じられることとなった。これらが消費者に十分に理解され、販売現場で混乱なく適切に運用されることが望まれる。今後は、消費税を含め多くの税が課せられている住宅取得者の負担を今以上に増やさないよう、恒久的な措置を実現することが最大の課題だ。その際、都心居住の利便性や職住接近を求める若い世代や高齢者世帯に需要があるコンパクトマンションの購入者のために住宅ローン控除などの面積要件を緩和することも重要になる。
管理の質評価する仕組みを
岡本潮・マンション管理業協会理事長 本年、協会が特に注力する課題は、管理組合財政の健全化、マンション管理会社の経営の安定化、マンション管理がマンションの市場価値へ正しく反映される仕組みづくりだ。良い管理がマンションの市場価値を高めると認識され、売却時により多くの資金回収ができることになれば、区分所有者の管理に向けた支出のマインドは上がり、管理組合の原資拡大に道が開かれる。これはまた、マンション管理会社の経営の安定化にも繋がる。マンション管理の業務内容・質が流通時の市場価値に正しく反映されていない現状で、管理の質を外から評価するための仕組みづくりが重要であり、関係団体等と連携し、この取り組みを進めていきたい。
管理業法制化を
末永照雄・日本賃貸住宅管理協会会長 当協会は本年も賃貸住宅市場の整備・適正化を目的とし、全国約1600社の会員と一体となって、賃貸住宅管理の法制化と賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現に向けて全力で取り組んでいく。昨年10月に国土交通省が取りまとめた「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」において、昨今、多発している賃貸住宅をめぐるトラブル等の諸問題の解決策として「登録制度の法制化及び管理士の社会的役割の明確化」等が、今後の取り組み課題として位置付けられた。当協会は国土交通省との連携を強化すると共に、賃貸不動産経営管理士協議会を構成する業界3団体の足並みを揃え、管理業の法制化と管理士の国家資格化への働き掛けを継続していく。
国土交通省の改正住宅セーフティネット法の普及促進にも引き続き取り組む。住宅確保要配慮者が入居できる民間賃貸住宅の登録を増やすため、会員を通じて家主等の啓蒙を図る等して、周知に努めていきたい。
基本方針に基づき施策
熊倉隆治・日本不動産鑑定士協会連合会会長 業容の拡大と専門性の深化そして社会への発信という三つの基本方針のもとに会務に取り組むと申し上げた。我が国は、第4次産業革命の真っただ中にある。不動産鑑定業界にもこの影響は強く及んでいる。この影響を克服し、社会に根差した不動産鑑定評価制度の持続的な発展のためには、前述の基本方針に基づき、各種施策に取り組むことが必要だと考えたからだ。
特に地方の会員にとって極めてウエートの高い各種公的評価のあり様をしっかりさせ、安定的な事業基盤を築くことが求められる。
国家資格化実現へ
原嶋和利・賃貸不動産経営管理士協議会会長 当協議会は、賃貸住宅管理業の適正化、賃貸不動産市場の健全化を目指し、賃貸住宅管理の専門家である賃貸不動産経営管理士の輩出・育成に努めるとともに賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現に向けて全力を尽くしていく。昨年、国土交通省が取りまとめた「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」において、「賃貸不動産経営管理士の社会的役割の明確化」と「賃貸住宅管理業者登録制度の法制化」が課題に挙げられた。当協議会は国土交通省と連携し、借主、貸主の安心・安全な住環境の維持向上のため、賃貸不動産経営管理士の社会的必要性を実証し、国家資格化を更に推し進めていく。




































