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スタンダード会員限定工夫重ね〝秩父の寒さ〟克服 第6回埼玉県環境住宅賞 高橋建築(埼玉県秩父郡小鹿野町) 大工の思いが仕上げた高性能住宅 地域性熟知した家づくり 「究極の家」で最高賞獲得

住宅新報 2018年12月25日 号 13面

総合
  • 表彰式で発表する高橋社長

    1 / 4表彰式で発表する高橋社長

  • 「県知事賞」の表彰状を手に満面の笑顔を見せる高橋社長((左))と妻の佳子さん

    2 / 4「県知事賞」の表彰状を手に満面の笑顔を見せる高橋社長((左))と妻の佳子さん

  • (上)南向きの開口部を大きく設けた受賞作品の外観(提供・高橋建築) (下)人が多く集まれば、体温などにより室温も上がる。高橋社長は「家族団らんの温かさも寒さ対策に貢献する」という(同)

    3 / 4(上)南向きの開口部を大きく設けた受賞作品の外観(提供・高橋建築) (下)人が多く集まれば、体温などにより室温も上がる。高橋社長は「家族団らんの温かさも寒さ対策に貢献する」という(同)

  • (上)南向きの開口部を大きく設けた受賞作品の外観(提供・高橋建築) (下)人が多く集まれば、体温などにより室温も上がる。高橋社長は「家族団らんの温かさも寒さ対策に貢献する」という(同)

    4 / 4(上)南向きの開口部を大きく設けた受賞作品の外観(提供・高橋建築) (下)人が多く集まれば、体温などにより室温も上がる。高橋社長は「家族団らんの温かさも寒さ対策に貢献する」という(同)

 「埼玉県環境住宅賞」は、環境負荷の少ない住まいづくりを推進するため同協議会が募集・表彰しているもので、同県が後援している。

 地元の工務店のほか、ハウスメーカーや学生などが応募する中、「県知事賞」として選ばれたのが高橋建築の「秩父の寒さでも無暖房で子育てできる究極の家」だ。

 同住宅の特徴は、作品名の通り「寒くない」こと。敷地形状の関係で南面を最大化することは難しかったものの、その中で南向きの窓面積を大きくとって陽光を十分に取り入れられる構造とした。更に、南面以外の窓もあえて広くとり、景観を楽しめるデザインで居住性を高めている。

 当然、熱の逃げやすい開口部が大きいだけに、断熱性には気を配った。ガラスは日射取得率と高断熱性を両立させるトリプルガラスで、南窓のサッシは国産のスギ材をドイツに運んで加工した高性能な木製サッシ(アルミカバー付き)。壁や屋根、基礎にも高性能な断熱材を十分に使い、室温を保つことで省エネ性を高めている。

 表彰式の講評では、「太陽光だけでなく地中熱や地下水などの自然エネルギーをフルに活用し、通気や排気など様々なパッシブ技術が採用されている」として、技術面で高い評価を受けた。

原点は「壊されない家」

 同社は秩父を中心とした限られた範囲で家づくりを手掛けており、社長夫人を含めて社員12人の工務店。地元で長く注文住宅建築の請負などを行い、特に数寄屋造りや茶室などの和風建築に定評のあった先代(父親)の事業を、現社長の高橋慎吾氏が継いだ形だ。

 高橋社長は、昔から「なぜ、まだ住める家を20~30年程度で壊してしまうのだろう」という疑問を抱いていた。現代日本の戸建て住宅の特徴でもある、比較的短いサイクルで家を建て替える習慣が、つくり手として納得いかなかったようだ。

 建て替え希望の顧客にヒアリングを重ねたところ、「寒くて住み心地が悪いから」壊して新しく建てるという声が目立ったという。そこで一念発起し、「住み心地がよく、長く住み続けられる家」を目指して勉強を開始。独学に加えて様々なセミナーにも通い、学識者を訪ねて話を聞くなどして、住宅性能向上のための知識を磨いていった。

秩父のパッシブハウス

 そうした中で気付いたのが、地元・秩父の気候特性だ。秩父エリアは省エネ基準地域区分に照らすとおおむね4または5地域で、寒冷地扱いではない。しかし気象庁のデータなどから実際の気温を調べると、冬の寒さは同ランクの地域よりも明らかに厳しく、夏の暑さも〝暑さ日本一〟で有名な同県熊谷市よりは多少緩やかといった程度。関東地方の標準的な断熱・省エネ性能では、居住者の快適性は低くなってしまう。

 そこで高橋社長はまず、施工する住宅の水準を最も断熱性能のハードルの高い北海道(1、2地域)に合わせた。そして更なる住宅性能向上へ向け、ドイツに渡り現地基準の「パッシブハウス」を見学、体感。「これだ、これが本物だ! と思った」と高橋社長は振り返る。

 世界的に見ても厳しい性能基準である「パッシブハウス」を実現するため、綿密な検証と計算を重ねて建築したのが今回の受賞作品だ。高橋社長の説明によると、真冬でもほぼ暖房を使わず快適に暮らせる室温を保てる性能となっている。

 更に、一次エネルギー消費量や熱損失係数、開口部の熱還流率など、具体的な性能の数値を詳細にまとめ、客観的なデータとして提示。この技術的な厳密さも審査員から高い評価を受けており、「県知事賞」を獲得する決め手の一つとなった。

性能向上の挑戦は続く

 同社では、施工した住宅数十軒に計測器を設置させてもらい、室温の推移などについてモニタリングを続けている。寒さ対策には相応の成果を上げているものの、夏の暑さ対策をはじめ、まだ性能改善の余地はあると考えているからだ。

 「大工として、(建築の)技術的な部分には非常にこだわっており、設計も自分でやっている。と言っても、田舎大工の設計なので、大したことはないのかもしれないが」と控えめに笑うものの、その口調はどこか誇らしげにも感じられる。

 自分と顧客が深く根を下ろす秩父という地域に愛着を持ち、家という生活の基盤を一からつくり上げる大工の仕事に確かな誇りを持つ高橋社長。その思いが「田舎大工」という言葉にポジティブな響きを持たせていると同時に、日々「よりよい家づくり」に取り組むための原動力にもなっているようだ。

(佐藤順真)

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