地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (67) 外国人材が地域に新風を起こす(4) 地域おこし協力隊員として長野へ
住宅新報 2018年10月16日 号 3面

素朴な農村の風景も外国人目線では、強力な観光コンテンツだ
外国籍の協力隊員
長野県の最南端の村の一つに売木村がある。人口わずか600人の小さな村だ。ここに、地域おこし協力隊員として五月女・ニーザー・アレックスさんが17年春に移住してきて、インバウンドの取り組みが加速しているという。
ニーザーさんはドイツ出身で、日本人の奥様と2人の子供と暮らしている。かつてここを訪れた際に、囲炉裏がある古民家に憧れを抱き、何度か村に通い相談したところ、地域おこし協力隊として観光課に採用された。
村が採用を進めた理由は、ニーザーさんが5カ国語も使える言語のエキスパートで、海外向けのPRに向いているからだ。また人柄もフレンドリーで、地域の人たちともすぐに打ち解けることができ、村の魅力を引き出せる。更に彼の故郷も同じような田舎なので、この村の良さを感じ取ってくれると期待している。なお、応募資格には外国籍が不可という規定はなく、住民票があれば問題ないのだ。
観光が村の存続に
実は、この村人のうち、その3割がIターンで住み始めた人たちだ。それも定着率が高い。今後もIターンを受け入れて、村として存続できるようにしたい、と村役場の担当者は言う。また、最終的にIターン者の増加につなげたいという思いもあり、観光促進への取り組みは売木村を知ってもらうためのきっかけになると考えている。地域ブランディングとライフスタイルの提案を目指す。
何もない良さが魅力
ところで、ニーザーさんの外国人向け観光のコンセプトは「のんびり」だという。朝起きると、鳥のさえずりが聞こえ、車の音はなく、静寂さが心地よい。このようにのどかな村を満喫し、同じような感動を多くの外国人にもしてもらいたいと抱負を語る。ここに来た人が、心のリセットができるようにしたい。ターゲットは長期滞在者で、欧米中心に訴求する予定だ。ほかにも国内在住の外国人もターゲットになり得る。
村の観光担当者は、ニーザーさんの視点が日本人とは違うことが新鮮だという。例えば、近くに小さいながら牧場もあり、ここを長期滞在者が自転車で訪れると楽しいだろうとアドバイス。日本人の発想だと車で遠くからわざわざ来てもらうには、立派な設備が必要だと考えがちだ。しかし外国人は違う。大きな規模である必要はない。適度な場所にあることこそが重要なのだ。






















