スルガ銀行は金融機関なのか (下)悪質な不正行為とそれを生んだ背景 経営トップは現場を見ず
住宅新報 2018年10月2日 号 1面

有國三知男新社長が同行HPに載せたお詫びの文章
(5)抱き合わせ販売=同行においては、営業本部から各支店に対してシェアハウスローンに限らず、不動産融資全体について、無担保ローン(約7%の金利)の抱き合わせ販売が強く推奨されていた。ある支店では、このセット販売率が他支店より高く、それはスマートライフ(スマートデイズの前身)に対して無担保ローンをセットした上でシェアハウス案件を進めるよう要請していた。
この件については興味深いやりとりがあったことも分かっている。この抱き合わせ販売については、「センター長会議で営業本部の幹部から各所属長に伝達され、それを各所属長が支店で営業職員に周知徹底させることで伝播していた」(第三者委員会調査報告)。そして、ある時の会議で所属長が、「儲けようとして収益不動産ローンを借りる人が7%近い高利率の無担保ローンを借りたいと(経済合理的には)本来思うはずはないので、センター長会議で、おかしいと専務執行役員に意見を述べた」という。
これに対し、専務執行役員は、「1億円借りる人が(無担保ローンの)1000万円を借りないでどうする!」と声を荒らげたため、その所属長は諦めたというのだ。セット販売の同時実行割合は17年度には79%に上っていた(同委員会資料より)。
(6)審査条件の暴露=同行では、行員が業者(チャネル)に銀行の審査条件(どういった案件であれば審査が通るか)を暴露する行為が行われていた。また、こうした不動産ローン全般において、行員がやりとりするのは債務者である投資家ではなく、専ら業者であり、行員が債務者と面談するのは金銭消費貸借契約の締結時のみだった。そのため、ローン内容の説明などはすべて業者を通じて行われており、必ずしも債務者が契約条件を理解していたかどうか不明なケースもあったと思われる。
【原因】(1)審査体制の問題=融資管理部では、収益不動産ローンの融資基準や審査体制について副社長との間で開催していた「出口から見た気づき」会議で指摘していた。しかし、実際はその問題点が審査部内でも共有されず、副社長以外の経営者にも届いておらず、会議は十分に活用されなかった。16年4月に行われた同会議の資料では、返済原資の変動リスクや担保評価額と実勢価格とのかい離、不良チャネルによる不適切勧誘などの記載があったのだが、審査部の営業からの独立性が確保されていなかったため、実行的に機能しなかった。
(2)営業の問題=同行の単年度の営業目標はトップダウンで決められ、現場の実態が勘案されない厳しいノルマとなっていた。更に目標を策定する本部組織において、進ちょくをモニタリングする仕組みがなく、目標が過大で現場に歪みを生むリスクがないか、といった観点からの検証はされなかった。
(3)内部監査体制の問題=監査部による内部監査は形式的かつ外形的な確認のみに終始し、実行的な業務監査は行われなかった。経営トップ層は、持ち株などで同行を完全に支配していたが、現場の営業部門は強力な営業推進力を有する者に任せ、数字を上げることを要求し、自らは執行の現場に深入りせず、情報断絶の溝を構築していた。
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同行は9月上旬、代表権を持つ会長、社長、専務を退任させ、新しい代表取締役を選任した。取引先や利用者の信頼を取り戻せるのか。今後の道のりは果てしなく厳しい。本紙は、その行方をこれからも追いかけていく。






















