空間を取り巻くデザインの潮流(上) 三井デザインテックデザインラボラトリー 働き方が変われば暮らしも変わる 家の外と内をつないで多目的に
住宅新報 2018年9月11日 号 5面
オフを楽しむ工夫
日本では今、かつてないほど働き方が議論されています。残業時間の削減や休日取得の促進、フレックスタイム制・在宅勤務の導入、サテライトオフィスやシェアオフィスの活用など新しい働き方によってワークライフバランスを取り、人生を豊かにするための試みが行われています。
このことは私たちのライフスタイルや暮らし方にも大きな変化をもたらしています。
残業時間の削減や休日の取得促進によってオフの時間が重視され、余暇や家での時間を楽しむという嗜好が増えてきています。
それは夫婦や家族との自宅での夕食や宅飲みにとどまらず、ママ友や友人を招いてのバーベキューなど多岐にわたります。
このような暮らし方を実現するためには、それにふさわしいキッチンやダイニング、皆で集いやすい空間が必要となります。こうしたニーズのために、家族の団らんにふさわしい場所として、かつての日本家屋に多く見られた縁側のような外と内を上手につなぎ、多目的に使える空間デザインが新しい形で復活することも考えられます。
空間デザインの潮流でいえば、外と内のつながりや自然への回帰はここ数年のトレンドですから、縁側のような外と内のつながりを効果的にデザインした窓辺空間のニーズは今まで以上に高まることでしょう。
そのほかにも、働くための健康な心身をつくることも住まいには求められます。質の高い睡眠を得るための寝室やリラックスを促す水回り、照明の照度など細部にこだわり、空間における精神的な充足を追求する住まいづくりということです。
はずせない健康志向
これらは長寿百歳時代を視野に入れた健康ブームやIoT、AIなどの最新技術の後押しを受け、加速して住空間デザインに取り込まれていくことでしょう。従来の住まいづくりでは、子供の成長に合わせて考案した間取り、収納や動線を使いやすくするための工夫、最新の設備にリフォームするなどが一般的でしたが、これからの住空間デザインは、住まう人のライフスタイルや嗜好の多様性を中心に考え、その延長線上に住まいがどうあるべきかを考えることが重要になります。
働き方の変化によって変わるライフスタイル(生活観/人生観)の多様化を考慮した住まいづくりにおいては、既成の枠にとらわれないデザインがより求められるようになると思われます。
(筆者=山野奈緒)
やまの・なお=デザインディレクター。一級建築士。日本建築学会会員。ホテル、住宅を中心に空間デザインを数多く手掛ける。世代ごとの空間価値を切り口とした社内デザイン調査研究機関フェミラボチーフとして講演多数。
























