明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第247回 広いカーポートができる背景 余裕をなくした建築物 若生快永 不動産学部1年
住宅新報 2018年8月28日 号 4面
【学生の目】
初夏の太陽が程よいある日、大学の近くの住宅街を散歩中に、一軒の建物に目がいった。大屋根の住宅とそれに付随するカーポートと倉庫らしきものに違和感を覚えたからだ。まず、大屋根の住宅が大きい。次に、車が3台も入るカーポートが広く、高い。更に、住宅やカーポートのおおらかな形状と対極的な、固い形の倉庫が道路に迫っている。
住宅の機能からすると、この家はよくできている。大屋根の住宅には高い天井の部屋や吹き抜けがありそうだ。車を大切にする人には大きなガレージはかけがえがない。別棟の倉庫は収納力があり、屋上は洗濯物が干せる。
住む人にとっての機能性と通行人が感じる違和感をどう整理すればよいのか。糸口は、この空間が増築で生み出され、増築には制約があることが見過ごされがちなことにありそうだ。
一般にカーポートや倉庫は建ぺい率に含まれる。この場所は第一種低層住居専用地域で、指定建ぺい率は50%と制限は厳しい。住宅はデザインが良く、力量のある建築士が設計したと思われる。建築確認が必要だから新築時点で法令違反は考えられない。その後、カーポートや倉庫を増築する際は、建ぺい率や容積率に影響することから増築の建築確認を申請すべきところ、これを怠ったのではないだろうか。結果として現状では、敷地に余裕は無く、建ぺい率が過大に見える。
一般人には、住宅の高さや床面積を広くする増築ならともかく、カーポートが建ぺい率に含まれ、増設には建築確認が必要な場合があることはなかなか知る由がないだろう。事実、不動産学を学び始めた私も最近知ったばかりだ。言い換えると、住人には悪気も遵法性に問題があるとの意識もないと思われる。
建ぺい率に違反するようなカーポートや倉庫の増築はどんな結果をもたらすか。第一に、建ぺい率制限の趣旨である日照・通風・採光を確保できない。第二に、景観が損なわれる。第三に、周囲の住宅は規定に従って「低層住宅の良好な住環境を守る」にもかかわらず、その秩序を壊す。第四に、無秩序な住宅のために地価が安くなり周囲の財産価値を低下させる。
今まで建物は何気なく見ていたが、不動産学を学び始めてから見え方や考え方が変わっていくのは新鮮で、面白い。建物の背景となっている都市計画や不動産経済を一体的に理解する知識を広く修得したいと強く感じる。
【教員のコメント】
都市計画法施行前はもとより、都市計画区域外では形態制限はない。集団規定の経験が少ない人が多い時代はやむを得なかった側面があるが、都市計画法50年の歴史を踏まえ、都市環境と資産価値の共生について一般市民への啓発が求められる。
























