「高齢化」と向き合う 仲介会社の視点 (上) 高齢者の〝普通〟支える
住宅新報 2018年8月14日 号 1面

(株)R65の山本遼社長
現在28歳の山本氏は15年、高齢者専門の同社を立ち上げた。転機は愛媛県の不動産会社に就職し、新たに出店した東京支店に勤め1年が過ぎた頃。「部屋探しに来た80歳の女性が『5軒目です』と話した。高齢者というだけで門前払いされる現状に心が揺らいだ。78歳で亡くなる2年前まで自営の薬局で働き、自立した暮らしを送った祖母の姿が根底にある」。
65歳以上の住まい探しを支える「R65不動産」では1都3県の物件を紹介。東京23区内であれば無料で出張相談にも応じる。「高齢者の意思決定がスローという特徴もあり、成約までの期間に個人差がある」(山本氏)が、問い合わせ件数は月40~50件。入居希望者との接点は、地域の医療関係者や介護従事者の紹介をはじめ、高齢者の家族や取材を受けたメディアからの紹介も多いという。
同社の特色については「まずは断らないスタンスを徹底すること。次にヒアリングによってリスクへの対応を〝見える化〟すること。例えば、保証人となる親族が遠方で暮らす場合、近隣の友人や勤め先が緊急連絡先になるかを探る」(山本氏)。また、見守り機器を家主や不動産会社にヒアリングし、NECと共同開発も進めてきた。低コストで工事不要、入居者の日常生活を管理することがない等、家主、入居者それぞれの導入ハードルを取り除く。来店者の傾向として、「元気なうちは自分が住む場所を決めたい」という人が多く、持ち家の売却や賃貸からの住み替えなど、その理由は様々だという。
長期入居が期待
家主や不動産会社向けのセミナーを開催する山本氏が強調するのは、高齢入居者の多くは最後の住まいを探している点だ。だが、これは看取りが必要ということではなく、自然死をどう扱うかという問題だという。「メリットとして訴求できるのは、長期入居になりやすい点。例えば65歳で15年入居する高齢者に対し、大学生であれば4年間で一度入れ替わる。そのたびに賃料が10%ずつ落ちる上、30万円程度の退去リフォームが必要となった場合、大家さんの負担は計り知れない。孤独死、認知症対策を行うことで賃貸経営を安定させることのほうが重要ではないか」。
同社では現在、東京、埼玉、神奈川を中心に約470人の家主と取引がある。「都内では特に杉並、世田谷など学生街が多く、地域での集団生活に慣れた高齢者の入居を歓迎している傾向がある。投資家や2代目の大家さんも増え、地域のために不動産を活用しようという動きも出ている」。
更に山本氏は今年、管理会社との接点も強化し始めた。北海道や新潟、福岡など遠方からの問い合わせが増える半面、対応できる範囲に限りがあるからだ。「街の不動産会社と協力し、安心して大家さんに貸し出せる仕組みを整えることが優先」とし、「スピード感を持って、プレイヤーを増やさなければ、自分自身も親世代も賃貸で最後を過ごすという選択が取れない。極論すれば、『R65』が不要な社会になることが進むべき方向だ」と力を込める。
開業から3年。現在は「入居者や大家の安心が増える方策は何か」「認知症になった入居者を抱える大家の取り組みはどうか」など勉強の日々。入居者が亡くなった際に早期発見につなげるため、見守り機器の設置や社員による電話確認など〝ソフト〟な対応を継続する。山本氏はシェアハウスを運営し、自らそこで生活している。
「高齢者の賃貸住宅探しといっても、普通の暮らしを欲しているだけ。大事なのは、人がフラットに関係性を築ける場だ。自分は横断的なつなぎ役を担う」






















