経済産業省・資源エネルギー庁は18年5月に「電力小売全面自由化の進捗状況」を発表しました。それによると、18年1月時点で全販売電力量に占める新電力のシェアは約12%。また、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の発表では17年10月以降は毎月30万件以上が新しい電力会社への変更を申請しています。16年4月の制度開始時は切り替えに慎重であった消費者も、時を経るごとに切り替えに積極的になっていると言えるでしょう。
引っ越し時のトラブル
利用する人が増えれば、それに伴って増加するのがトラブルです。例えば、小売電気アドバイザーは、電力切り替えを検討するタイミングとして適している「引っ越し時」のトラブルについても相談されます。ここで、賃貸仲介を行う不動産会社がトラブルを起こさないために気を付けておくべきポイントが分かります。
賃貸住宅に住んでいても可能な電力会社の切り替え。引っ越しのタイミングで新電力に切り替えを行う場合は、事前に契約中の電力会社に対する解約手続きと、新しく契約する電力会社との手続きが必要になってきます。従来であれば、引っ越しをしてからそのエリアの電力会社に書類を送ってもよかったのですが、新電力への切り替えについては、事前に手続きを行っておかなければ、即日で電気が使用できない場合があるのです。
引っ越し先で電気が使えない。これは入居者からすると大問題です。彼らは、まず仲介をした不動産会社に「なぜきちんと説明をしてくれなかったのか」と連絡します。不動産会社は賃貸仲介時に電気、ガス、水道といったライフラインの利用に関する一通りの説明を行っていると思いますが、この手続きの流れが変わったことを認識しておかなければ、トラブルに発展してしまうことがあるのです。
個別契約不可の場合も
また、マンション・アパートの管理組合や大家さんを通して建物全体で一括して電力会社と契約している物件の場合は、入居者の個別契約は不可という可能性もあります。つまり、引っ越し先によっては、今まで使用していた新電力が使えないこともあるのです。
ヒアリングが必要
ゆえに、不動産会社は賃貸仲介をする際には、「今まで新電力を使用していたか」「引っ越しのタイミングで切り替えるのか」などをヒアリングする必要があると考えられます。加えて、物件紹介のタイミングでは、入居を希望する物件で自由に電力会社が選べるかなどについても確認しておく必要があるでしょう。
このように、不動産会社からするとトラブルの可能性がある電力小売全面自由化ではありますが、制度に対する正しい知識を持ち、消費者に案内すべき内容をしっかり把握しておけば、むしろ「安心して物件仲介と共に新生活のスタートを任せられる会社」として差別化していくことも可能になってくるのではないでしょうか。
●法務大臣認証ADR機関 一般社団法人日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013 ※調停が体験できる「ロールプレイ研修」を定期的に実施しています。
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