例えば、申し立てを起こした個人からすれば裁判をするよりも金銭的なメリットがあり、被申立人である事業者からすればその非公開性から社会的なメリットがあるADR。個人であるA氏は、不動産業者B社の勧めにより群馬県にある250m2の原野を800万円で売買契約を結び、購入しました。しかし後日、この取引を知ったというC社より原野商法(価値のない土地をだまして売りつける悪徳商法)の可能性があるとの連絡を受けます。C社からの情報によると、B社は過去幾度となくトラブルを起こしており、その都度名前を変えて営業を継続している、いわゆる「怪しい企業」であると言うのです。そして不安に思ったA氏が調べたところ、購入した土地は250m2で4000円程度の価値しかないとの結論に至りました。
ここで、A氏は弁護士に相談します。弁護士の見解としては、やはり詐欺の可能性が高いとのこと。しかし、A氏にもこの売買契約において確認不足などの落ち度があると共に、詐欺の証拠を立証することが難しい。そこで、弁護士が解決策として提案したのがADRという裁判外での話し合いによる解決でした。
このような経緯で日本不動産仲裁機構ADRセンター(以下、当ADRセンター)に相談を持ち掛けたA氏の希望するトラブル解決の着地点は、相続税の際に心情的に負の遺産を残したくないため、とにかくB社に土地を返却すること、そしてそれと共に購入金額の一部を返還してもらうということ。























