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スタンダード会員限定ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 (20) 調査実施のポイント 求められる3つの姿勢

住宅新報 2018年5月29日 号 3面

連載: ADRの現場から

総合
引地達也氏

引地達也氏

 当事者間に入りトラブルを解決していく調停人には、一般的に共感・承認・支援という3つの「姿勢」が求められるとされています。ここでは、「コミュニケーションの手法」からこれをご説明します。まず、「共感」とは「当事者が何を心に抱えているのかを理解し、その人の立場に立って考える」ということです。人と人のコミュニケーションは「理論と感情」で成り立っています。調停においては、例えば「金銭が返ってこない」という理論と「悔しい、悲しい」という感情が混ざり合い、当事者はトラブルと向き合っています。調停人はこのどちらに比重が置かれているのかをキャッチするようにします。当事者の理論と感情を考え、調停人自身をそこに重ね合わせるのです。これをすることによって、トラブル解決の方向性がみえてくると共に、当事者との信頼関係を築くことができます。いわば、「トラブル解決の土壌」が出来上がるといえるでしょう。

 次に「承認」です。承認とは、「マズローの5段階欲求説」によれば「社会から認められたい」という欲求であり、コミュニケーションは承認を得るために行われるという側面も多いと考えられています。調停の場面では「自分自身の正当性を承認してもらいたい」ということになるでしょう。これに対し、調停人は「あなたの言い分は分かります」と承認をするのです。ただし、ここで注意が必要なのは、その言い分が本当に正しいかどうかということ。その正当性を客観的な視点で判断するためには、トラブル内容に関する専門知識が必要になります。調停人は、当事者の言い分に自分自身の見解を重ね合わせ、「言い分の正当性」をつくり上げていくのです。なお、調停人がその見解を当事者に受け入れてもらうためにも、「共感」は大きな役割を果たします。

 当事者の抱える悩みと、その正当性が分かった後に必要なものは「支援」です。支援はアドバイスとは違います。アドバイスは自律している人にするものであり、トラブルで困っている人には適していません。調停人は支援の姿勢を持つことによって当事者に寄り添い、一緒になって問題解決を考えていくのです。分かりやすく言い換えるならば、アドバイスは当事者に向かって行われ、支援は当事者が見ている同じ方向に向かい、同じ目線で行われるものです。また、これをするためにも「承認」と同じく「共感」によって思いを一つにしておくことが求められるのです。

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