一般財団法人日本不動産研究所(2) 地域資源を生かす ~まちづくりからインバウンドまで 大阪府 ナイトタイムを新たな観光資源に 潜在的な経済効果も狙う
住宅新報 2018年5月15日 号 12面
訪日外国人の夜間動向
17年の訪日外国人は2800万人(観光庁調べ)に達し、そのうち1100万人が大阪を訪れた。人気観光スポットであるミナミ(難波・心斎橋地区)の道頓堀・黒門市場は終日、訪日外国人で溢れ、インバウンド・バブルを突き進んでいる。
公益財団法人大阪観光局が訪日外国人に対して行った大阪における「外国人夜間動向調査」によると、日本で感じる不満点として「午後8時から午前5時のナイトタイムの間に飲食や演劇場・マジックバーなどのエンターテインメントを提供する施設が少ないため、この時間帯が遊ぶところがなく、退屈である」という結果がまとった。
日没から翌朝までに営まれる経済(消費)活動全般を、「ナイトタイムエコノミー(夜間経済または夜遊び経済)」といい、地域経済への貢献は大きいといわれている。
日本でのナイトタイムエコノミーの潜在的経済効果は20年までに4000億円、ニューヨークのブロードウェーの経済効果は年間1兆円超、地下鉄の週末24時間営業を開始したロンドンでは年間240億円の経済効果が発生したといわれている。
事業の発掘、創出を補助
この調査結果を受け、大阪府は夜の観光資源活性化のため訪日外国人を対象とした夜間公演などナイトカルチャー事業に取り組む事業者に対し、事業の立ち上げに必要な経費(上限500万円)を補助する「ナイトカルチャー発掘・創出事業」を実施した。
17年度は19件の事業計画が提出され、審査の結果、7事業を採択し補助金の交付を行った。事業の内容は「芸者・侍文化を元にした非言語エンターテインメントショー」「チャンバラエンターテインメントショー」「文楽SHOW」「忍者ショーと和楽器の共演を楽しむ忍者ナイトクルーズ」など、外国人にも分かりやすい日本舞踊や殺陣など外国人好みの〝和〟を表現したショー、体験型のエンターテインメントとなっている。
このような試みを通してナイトタイムエコノミーを定着させるには、(1)夜間も安心して観光を楽しめる清潔な明るい街づくり、(2)24時間営業の公共交通機関の確保、(3)豊富なナイトカルチャーコンテンツの蓄積、(4)多言語メニューによる観光情報発信―などの課題を解決していかなければならない。
定着への課題
特に公共交通機関に関しては、大阪の場合、地下鉄は深夜0時台で営業終了する。ナイトタイムエコノミーを定着させるには、まず終電の延長が課題といえる。
「ナイトカルチャー発掘・創出事業」を後押しし、訪日外国人に夜の大阪を楽しんでもらうという試みは始まったばかり。様々な課題はあるものの、新たな地域経済の活性化と創出に対する取り組みは、全国的に注目されている。
(近畿支社、不動産鑑定士・太田雅美)

























