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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 236 セメント板 全てがノンアス、波形スレート 超高強度の登場も

住宅新報 2018年5月1日 号 8面

連載: 知って得する建物の豆知識

総合
木毛セメント板

木毛セメント板

モルタルよりも強く

 セメントはコンクリートやモルタルの主原料で、石灰石・粘土・けい石・酸化鉄などを混ぜ合わせてできています。これに、水を混ぜて混練りすると、石灰石の水和作用によって硬化します。モルタルはセメントに砂と水を混ぜたもので、セメントペーストと呼ばれるように、目地を埋めたりタイルの貼り付けに使われます。

 コンクリートは砂利と砂、水を混練りしたもので、骨材と呼ばれる砂利や砕石が入ることでモルタルよりも強度が高くなります。さらに、鉄筋の骨組みにコンクリートを流し込み、硬化させたのが鉄筋コンクリートです。

 セメント板はセメントのみを成形したタイプの他に、繊維質を混入した製品があります。成形製品で最も多く目にするのが波形スレートです。本来スレート(slate)とは欧米で屋根材に使われる粘板岩等の薄い天然スレート板のことを指しますが、屋根材や外壁材に使われることから、この名称になったようです。古い波形スレートには石綿を含有するものもありましたが、現在は全製品が「無石綿(ノンアスベスト)の波形スレート」(06年以降)になっています。しかし、古い建物の解体工事等で、波形スレートの廃棄処分には特段の注意が必要です。

 波形スレートに次いで多く使われているのがカラーベスト(コロニアル葺)と呼ばれる化粧スレート屋根材です。これは、セメントと砂などを原料に加圧成型し乾燥させ、表面を塗装したものです。セメントには防水性がないので、定期的な塗装メンテナンスを行って防水性を維持する必要があります。耐用年数は20~35年程度で、10年毎に防水塗装メンテナンスが必要です。カラーベストも現在では全製品が無石綿(ノンアス)になっています。

燃えにくい木毛

 セメント版に繊維質を練りこんで性能を強化したものに「木毛セメント板」があります。木毛セメント板はカンナ屑のように、リボン状の細長く削り出した木材をセメントペーストで圧縮成型した板状の建材です。日本へは関東大震災後、ドイツから輸入され使用されるようになりました。関東大震災では震災時に発生した火災による死者数が建物倒壊による死者よりも圧倒的に多かったため、燃えない建材としての木毛セメント板が多く流通するようになりました。

 昭和初年には国産化され、戦中、戦後を通じて主要な建材として広く使用されてきました。また、木毛セメント板をコンクリート型枠にして表面仕上げを兼ねるデザインも一時流行しました。

 木毛セメント板と似たものに「木片セメント板」があります。これは、木毛セメント板と同様の、木質系セメント板で、比較的短い木片とセメントを混練圧縮成型したボードで、製品には普通木片セメント板と密度の高い硬質木片セメント板があります。

 木片セメント板は耐火下地板として屋根、バルコニーの床下地材として用いられています。所定の屋根葺材との組み合わせで、大臣認定30分耐火構造(屋根)が取得でき、鉄骨構造の下地材として広く使われています。

 コンクリートに馬毛や植物繊維を混入すれば丈夫になり、血液を混ぜると凍結に強くなることはローマ時代から知られていましたが、今後は鋼繊維やポリエチレン、ポリプロピレン繊維などが混入された、超高強度のセメント板が登場するかもしれません。

  (建築家・中村義平二)

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