多様な働き方支える街づくりの手段とは テレワークや女性活躍の事例から 国交省 あり方検討会
住宅新報 2018年4月17日 号 2面

10日に開かれた検討会の様子
同検討会ではこれまで、フリーアドレスなど業務効率や生産性の向上につながるオフィス環境のあり方に焦点を当てて検討を進めてきたが、今回は更に視野を広げて「働き方や暮らし方の多様化と不動産・まちづくりのあり方」をテーマとして設定し、民間事業者からのヒアリングと委員による意見発表を行った。
テレワークの効果
はじめに、東京急行電鉄の担当者が同社の展開する2つの事業を紹介した。
働く女性を主なターゲットとした「東急ベル」は、東急電鉄の沿線住民を中心にコミュニケーションを深めてニーズをつかみ、同グループの小売事業のEC(電子商取引)・配送サービスと、家事代行をはじめ約50種類のメニューをそろえた独自の「家ナカ」サービスを提供するというビジネスモデル。同社の鈴木寛人事業企画課長は、「30代から50代までの働く女性にとって、家事や買い物の代行は強い味方」と語り、同事業を沿線地域の女性が社会的に活躍することを支援する取り組みとして紹介した。
また同社イノベーション推進課の永塚慎一課長補佐は、同社の進める働き方改革の一環として、同社の展開する法人向け会員制シェアオフィス「New Work(ニューワーク)」でのテレワークを、自社社員についても導入している事例を発表。また「ニューワーク」は会員企業の社員も利用しており、永塚課長補佐は「稼働率は右肩上がりで、見学や問い合わせも多い」と人気や注目度の高さを語る。更に集中力測定の結果によると、作業への集中度は「ニューワーク」(50~64%)が本社(41%)や自宅(40%)、カフェ(38%)よりも明らかに高く、時間効率に加え作業効率の面でもシェアオフィスの利用にはメリットがあるという見解を示した。
経済効率抑制も必要か
続いて、同検討会の委員が意見や将来のビジョンを発表。東京大学大学院の瀬田史彦准教授は「働き方の多様化のためのまちづくりと空間政策」と題し、都市・地方共に職の需給と働き方・生活に関わる都市サービスの需給がアンバランスである構造を指摘。比較的仕事を得られる大都市圏では保育園や介護施設が足りず、通勤も混雑と距離による負担が大きいものの、住環境や交通面で有利な地方圏では職の供給が不十分な傾向がある。そして瀬田准教授は街づくりの観点から、働き方改革とは「経済効率性をある程度抑えてでも、暮らしを改善するという取り組みではないか」という意見を述べた。
LIFULLの井上高志社長は、同社が社内外に提供・開放している食堂やコワーキングスペースなどを紹介し、幅広い交流の〝場〟が生み出すアイデアやイノベーションの重要性を強調。更に「自分の好きな時に好きな場所に住み、働き学べる社会」を目指す「リビングエニウェア」という考え方も取り上げた。その実現のため、上下水道や電線などのインフラを必要としない「オフグリッド」の世界と、それを実現し得る最新技術について話し、労働も暮らしも場所の制約から離れた社会の構築に向けたビジョンを提案した。
その後委員らはこれらの発表を受け、質問や意見などを交換。中川座長は「働き方や産業構造の課題解決について、大都市に関しては具体的なビジョンが多い。しかしこれからは、地方の不動産のあり方や街づくりについても、もう少し勉強や議論をしたほうがよいのでは」と今後の方向性について語った。


























