明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第225回 駐車場のつくり方 周辺に及ぼす影響を考えて はい島三弥 不動産学部1年
住宅新報 2018年3月13日 号 4面
【学生の目】
普段は何気なく通り過ぎる街中でも不動産学の視点を持って散策すると、様々な発見と出会うことが出来る。その一つが写真の駐車場である。一見すると、規則正しく区画割りされ、道路への出入りも容易な、利便性と効率性に優れた良い駐車場に感じられる。しかし、この駐車場には課題がある。
まずマンションの手前に車が並んでいるため、通行時はマンションの前というより駐車場の前を通行しているように感じる。住環境の良さがマンションの価値につながるが、良好な住環境を感じることができない。建物や環境と比べて車の主張が強すぎ、全体のバランスが損なわれている。
次に駐車区画が道路と直結しているため、駐車する際には一端道路で停車して後退しなければならない。戸建て住宅では普通でも、何十台という車がそうすると迷惑の程度も大きい。
さらに歩行者からみると、どの車が発進してくるかわからず危険である。道路は中央部を走る車に気をつけながら右端を歩くことが交通安全の原則であるが、ここでは動き出す車とぶつからないよう、道路の中央を歩かなければならない。交通安全の原則が守れない。
利便性や効率性だけを考えると、限られた敷地を無駄なく使い切ることが正しいかもしれない。しかし、本来敷地の中で完結するべきことを敷地の外を利用しないと完結できないような建築設計では、その建物が地域全体に悪影響を及ぼし、周辺不動産の価値を下落させてしまう。
今の日本は少子高齢化や若者の車離れが進んでおり、駐車場を必要とする世帯数が減っていくのは確実だ。そこで私は、予め駐車場をつくる必要はないと考える。例えば、景観を優先的に考え、これまでなら駐車場とした部分に庭園をつくることにより、付加価値を発生させる方法がある。庭園のつくり方を工夫して、必要な駐車場を後から開設できるようにしておけば、無駄で迷惑な駐車場は発生しない。
外部不経済をもたらす既存駐車場をリノベーションすることも重要だ(今川知治「不動産の不思議第141回」16年7月5日号)。市場の競争力を失った既存建築物を再生させる方法として「減築」がある。駐車場についても「減車」してレイアウトを変更し、付加価値を生み出す空間にする。市場の競争力に劣る不動産を再生させる方法として「減車」を利用する方法だ。
【教員のコメント】
建築物の安全や規模を規律する建築基準法は屋外駐車場には適用がない。厳然と存在していた外構の作法も喪失し、屋外空間に劣化がある。住宅余りの中、まとまりに敏感な若者は混乱を見逃さない。法や作法は免れても市場の評価は免れない。
























