明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第212回 クルドサック道路 超高齢社会で利用の幅広がる 内藤希 不動産学部3年
住宅新報 2017年12月5日 号 4面
【学生の目】
華やかに見え、高級感のある住宅街で一つの道路が目に留まった。住宅街、とくに高級住宅街では道幅が広く、見通しのよい道路がその街のシンボルとなるが、それとは正反対の「行き止まり道路」である点が目に留まった理由だ。
土地区画整理事業が普及している日本では、まず土地区画整理事業で宅地を造り、そのあと住宅を建築する。土地区画整理事業では公共施設としての道路の整備を重視して、道路の系統や幅員を決定する。この際、車が効率よく通行できる一方で、減分率をなるべく低くすることが重視され、「碁盤の目」の道路網が一般化した。このため良い住宅地は道路が整然としているという考え方が定着している。
これに対し、海外では歩行者の安全に配慮した歩車分離がいち早く導入された。米国ニュージャージー州ラドバーンのニュータウン開発は、歩行者の安全確保を徹底したことから「ラドバーン方式」で知られる。歩行者専用道を設けるとともに車道との高さを変えて立体交差する、通過交通が入り込まない「クルドサック」に沿って住宅を配置するなどの方法が採用された。
「クルドサック」は、フランス語で袋小路を意味する。「クルドサック」道路に沿って配置された一定数の住宅を開発の一つのユニットとする。この際、道路は居住者以外の車が入ってこないよう、車の通り抜けができない構造とする一方、居住者の車の利用に不便が生じないように、突き当り部分をロータリーにして車が旋回できるように設計する。
日本でこの方法にいち早く注目し、導入したのは1930年代に開発が始まった東京板橋区の常盤台住宅地だ。クルドサックのメリットは、住宅に無用の車が入ってこないために、交通事故の心配が少ない安全な住宅地になる。また、静かな住環境を維持できる。さらに、ロータリー部分の植栽が成長して住環境の成熟を実感できる。加えて、ロータリー部分は団らんやごみ収集場などの場所となり、コミュニティが形成されやすい。工夫によっては、子供たちの遊び場としても利用できる。
デメリットは、災害時に住民の避難経路が一方に限られてしまうことだが、クルドサックの先に歩行者専用の路地を設けて、他の道路へ接続させることで解決する。超高齢社会を迎え、老人に優しい街づくりにクルドサックが利用できそうだ。
【教員のコメント】
高級住宅街の敷地が相続を契機としてミニ開発され、住宅地の品等が下がる例がある。路地状敷地や位置指定道路で接道するが、住宅余りの今日、接道規定を見直してクルドサック道路を規律する提案は、高齢者のみならず社会的に有用である。
























