地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (17) シリーズ趣味に特化、ピンポイントでやってくる(5) 岐阜県多治見陶芸目的でマンスリー滞在
住宅新報 2017年10月17日 号 3面

陶芸教室で課題として出すのが、まっすぐの20センチの円筒形だ
外国人が修行する
岐阜県多治見市では、空きスペースだったところを活用して、外国人がマンスリー滞在の宿泊施設として利用できるようにしている。更に、今年中には他の空き部屋も借りて、同じように活用していく予定だ。
多治見市では、なぜ外国人向けにマンスリー滞在のニーズがあるのか。それは、陶芸教室の1カ月間の特訓コースが人気となっているからだ。指導しているのは、地元在住の陶芸家・柴田節郎さん。
多治見市は、美濃焼の産地として古くより栄えてきた町で、近隣の土岐市など、一帯には窯元が多く点在している。
柴田さんは、陶芸教室「杜の土」を主宰し、12年に滞在型作陶施設「陶芸の家」を開設した。1階が陶房、2階が和室と洋室で2部屋の宿泊施設だ。
補助金活用で拡張
外国人は、作陶所兼宿泊所に寝泊まりし、自炊しながら陶芸にいそしむ。施設のオープン後は、日本人の利用者のみだったが、13年に、たまたま東京の旅行会社を紹介してもらい、翌年からそこを通して海外からの利用者が増えた。シンガポールや香港など東南アジア方面に加え、米国や英国、オランダなど。最近はリピーターや帰国した人からの紹介者が増えたという。
予約待ちが続くなど、増加した外国人需要に対して、16年9月に滞在施設を増設した。市のまちづくり活動補助金を利用し、鉄骨2階建ての空き家を改装。2棟合わせて、以前より1人多い3人が宿泊できるようになり、オープンスペースもある。それでも需要に追い付かず年末までに他の部屋も借りる予定だ。
世界に誇る陶芸技術
参加者のほとんどは、陶芸の経験があり、ここで1カ月間みっちり勉強して、かなり技術を上げる。中には、帰国後、現地で陶芸教室を開いている人もいるほどだ。
柴田さんは「日本の焼きものを学びたい、特に茶器を作りたいという外国人が多い」と語る。世界中、陶芸教室が増えていて、その中で日本はアドバンテージが高い。日本は登り窯が多いなど、彼らにとっては憧れの国なのだ。
爆買いが終わり、モノ消費からコト消費というインバウンドの流れがあり、多治見市ではその先を行っている。日本の独自文化を深掘りしたところに、学びという海外ニーズがあり、そのための滞在施設が必要だ。






















