地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (15) シリーズ趣味に特化、ピンポイントでやってくる(3) 広島・廿日市の商店街が「けん玉ストリート」に
住宅新報 2017年10月3日 号 3面

地元の小学生がストリート系のファッションでけん玉を披露する
けん玉商店街が誕生
広島県の廿日市市は、厳島神社を目的に多くの外国人がやってくる。原爆ドームを見学した後、市電で向かうのがお約束のコースだ。
ところで、その途中に廿日市駅があり、そこの小さな商店街に活気が戻ったという。それまで素通りしていた外国人観光客が、立ち寄る機会が増えてきたそうだ。駅前には「けん玉」ショップがあり、そこを目的に途中下車して商店街も散策する。4年前に商店街の愛称を「けん玉商店街」にしたほどだ。
実は、けん玉が現在の形になったのは、大正時代に考案されたのが始まりで、そのルーツが廿日市市だ。だから、工房が今でも数カ所あり、小学校の入学祝いに市からのプレゼントとして全員に贈られる。市民としてもけん玉に愛着を持ち続けていた。
ストリート系アイテム
ところが、伝統玩具という位置付けのため、どこか古臭い印象があり、地域の誇りになっていなかった。
それが、大逆転する出来事があった。いつの間にか、けん玉が、世界のKENDAMAになっていたのだ。ストリート系の遊びとして人気となり、ダイナミックな技を競っている。YouTubeにもパフォーマーの演技が動画にしてアップされている。もはやけん玉人口は日本より海外のほうが多いと一般社団法人グローバルけん玉協会は言う。このような背景を受け、13年から「けん玉ワールドカップ」が廿日市市で始まっている。毎年夏の開催だ。
地域の宝に育てる
そのプレ大会で、廿日市駅通商店街が、「商店街にぎわい補助金」で予算を獲得して、海外からパフォーマーを招聘した。多くの市民がその技を目の当たりにして、度肝を抜かれたという。そしてストリート系の外国人プレーヤーの演技にけん玉の可能性を見い出したのだ。地域住民のけん玉に対する考え方が変わり、活性化の起爆剤になると確信した。
今年で4回目となるけん玉ワールドカップには、海外の参加プレーヤーが100人を超えるほど人気が続く。それは、海外のプレーヤーはけん玉のルーツが広島だと知っていて、リスペクトの想いがあるのだ。
商店街でもけん玉を盛り上げようと、けん玉最中、けん玉焼酎など作った。小さな商店街ではあるが、けん玉というアイデンティティを持ったことで、新しい流れになってきた。






















