地域が変わるインバウンド 交流人口増加がもたらす恩恵 (11) シリーズ「外国人宿、ゲストハウス出現のインパクト」(3) 初期投資を抑える~外観より地域の魅力
住宅新報 2017年9月5日 号 3面

3階建ての中野のゲストハウスの正面には、いまだに菊正宗のロゴがある
下町が集積地に
東京都内にゲストハウスが増えている。立地の傾向を見ると圧倒的に東側の下町エリアだ。全国展開しているカオサンゲストハウスは、都内に7店舗を構え、浅草や両国などすべて下町に建つ。代表の小澤氏によると、家賃が西側に比較して安く、初期投資を抑えられるからだという。
もちろん渋谷あたりに出店できれば、高い稼働率が期待できるものの、家賃との折り合いがつかない。ゲストハウス1泊当たりの相場としては、ドミトリーが3000円程度で、薄い利幅で稼ぐには、初期費用と固定費の軽減で決まる。
DIYにこだわった
一方、西側でありながら、成功しているゲストハウスが、中野駅近くにある。外国人旅行者に人気だ。
10年に開業していて、昨今のゲストハウス出店ラッシュよりも早い段階でスタートした。オーナーの山本さんはバックパッカーの女性だ。自宅に外国人バックパッカーを泊めてやったことなどから、それが本業になってしまったという。
本当は、もっと早く開業したかったそうだが、中野駅周辺には、簡易宿泊所の登録をできる物件が少なかった。それまでの約4年間は、地元の不動産会社の協力で転貸許可物件を紹介してもらい、シェアハウスと民泊を併用して運営した。
オーナーがゲストハウスにこだわった点は、とことん予算を掛けない初期投資だ。外観の酒屋の看板もそのまま残している。水回りと配線は、業者にお願いして、それ以外は全部自分で手掛けた。壁塗りなど、左官仕事はもちろん、板を切って組み立てるのも全部自分でやった。開業後すぐに高い稼働率になり、更に3年後には駅の反対側にも2号店をオープンさせた。
宿がとんかつ屋?
ところで、池袋から西武線で一つ目の駅、椎名町駅前に「シーナと一平」というゲストハウスがある。こちらは、正面の壁に大きく「とんかつ一平支店」という看板がある。予算の問題よりも、前のとんかつ屋だったオーナーの思い出を残すための配慮とのこと。それでもゲストハウスの運営には支障はない。今の時代、もはや外観にこだわる理由がないのだろう。
建物のハード面よりも地域の魅力などソフト面を重視するバックパッカーが多い。集客のポイントは、低額料金とむしろ地域の魅力が肝になる。






















