ニュースが分かる! Q&A 米国のステージング事情 居住中が主流、早期成約へ
住宅新報 2017年8月29日 号 14面
連載: ニュースが分かる!Q&A
先輩記者A 最近、中古流通の選択肢として「ホームステージング」が注目されているな。
後輩記者B ええ、売却したい物件を家具や小物で演出する手法ですね。購入希望者に生活のイメージを提供することで、物件の早期売却につなげる狙いがあります。
A 日本ホームステージング協会が13年に設立されたが、最近の動きはどう?
B 法人会員は大手の不動産業者や物流、インテリア会社など約30社に上ります。協会が運営しているホームステージャー認定講座も好調で、不動産仲介や管理会社、ビルダーなど、本業にプラスアルファを求めている人が増えており、協会では17年を「ホームステージング元年」と位置付けています。
A サービスの認知から定着・浸透への過渡期か。欧米では一般的なようだが。
B 米国では30年以上の歴史があります。実は先日、米国シアトルで活躍する日本人ホームステージャーの来日セミナーに参加しました。講師によれば、付加価値を生むビジネスのため経済の影響を受けやすく、リーマンショック時に8割のホームステージャーが企業を辞めたとのこと。現在は回復傾向だそうです。
A 米国のステージング事情か。どんな特徴があるんだい?
B 地域によって文化や住宅事情が異なるため、シアトルの事例ということでしたが、ホームステージングの利用は主に「売主が物件売却を検討する時」「ホームパーティーなどで来客者をもてなす時」が多いそうです。
A 前者は日本も共通するところ。6月に東急リバブルがマンション売却サポートの一環として導入しているが、空室を前提としている。
B 米国では逆に、居住中の販売が主流です。購入者の職業や年齢、家族構成等を市場調査で絞り込み、不動産市場のトレンドも分析してコンセプトを明確にします。対象とする部屋の優先度ではリビング、キッチン、ダイニング。特に女性はキッチンでの生活イメージを想像するため、ワイングラスや花、カッティングボードなどで飾り付け、ワクワクする空間に演出します。建物としての「ハウス」から「ホーム(家庭)」へ変えることが役割となります。
A 設置予算や報酬は?
B ホームステージャーへの報酬は、不動産会社が販売手数料の中から出す形が多いそうです。設置範囲や予算は打ち合わせで決定しますが、例えば1億円の物件(土地・建物代)の場合、家具や小物代として20~30万円が目安。それ以外に家具の運搬料や撤去代、人件費などが必要となります。なお、ステージング用の家具は、大型の倉庫で保管する仕組みがあり、ホームステージャー同士での使用が可能です。家具ごとにバーコードを付けてオンラインで紹介しているので合理的です。
A なるほど。日本では家具の保管場所も含めて、仕組みづくりは課題となりそうだ。ところで、早期売却の成果は出ているのかい。
B はい、シアトルの場合、ホームステージングをした物件の約8割は1カ月以内に売却に至るそうです。国内で在庫不足の状態もあり、時期がよければ販売開始から即日成約することも。ちなみに、購入者の1割は家具や小物を丸ごと希望しているとのこと。この場合、同等の家具を新たに手配して販売するそうです。なお、中には物件の販売期間中に神経質になってしまう入居者もいるそうで、その場合、2週間ほどの旅行をおすすめしているそうです。
A 住宅の狭い日本では、住み替え先を確保した上で行うのが現実的かもしれないな。ちなみに、米国の住宅事情で興味深かった話は?
B 講師が強調したのは、住宅設計の仕事では米国の住宅事情や文化に精通すること。更に、顧客のビジョンを整理整頓していく心理学的な素養が不可欠という点です。設計依頼では顧客の相談相手として、特に夫婦仲の修復を意図した内容が多いと言います。食事の仕方や夫婦の営み、家族団らんの形など…。寝室ではパートナーとの並びによって照明の位置やベッドの硬さも異なりますし、テレビを置くのはNGだそうです。
A 立ち入った話もありそうだな。日本では、テレビを挟んで会話をしたり、そもそも寝室が別々だったり。かくいう俺は独身だったな。
B 立ち入った話になってしまい、申し訳ありません。






















