「グリッド」とは単位のことで、例えば設計図などの基本モジュール910ミリや1000ミリに従ってプラニングを行う方法をグリッドプラニングと言います。最近では「スマートグリッド」という言葉をよく耳にします。これは、大発電所→高圧送電網→変電所→トランス→家庭や工場という送電方式だけではなく、太陽光発電や蓄電システムを組み込んだ、小さな発電単位の集合体による相互融通システムのことです。住宅などの小さな発電単位=送電単位(グリッド)を連結して細胞のように活動させるイメージです。その双方向性の賢いイメージが「スマート」というわけです。これを地域にまで広げたのがパナソニックなどが藤沢で実証実験を行っている「スマートシティ」です。
結局、スマートグリッドの考え方は再生可能エネルギーをどのように効率よく組み込むかということですが、これは環境先進国ドイツの例を見るまでもなく、一筋縄では行きません。「緑の党」などとの連携を求めた政府が決めた料金設定が、今になってジワジワと政権の首を絞め始めています。日本でも同様の傾向があり、現在は沈静化に向かいつつはありますが、再生可能エネルギーの購入価格はいずれ大ナタを振るって改正が行われると考えられます。
再生可能エネルギー思想の祖であるバックミンスター・フラー博士の思想は、それが経済活動だけに資するのではなく、ライフスタイルとして完結することを目指していました。そうした思想に共鳴し、再生可能エネルギー利用と言っても、結局は電力会社の手の内から逃れられないことに疑問を抱いた人たちが、エネルギー的に自立する「オフグリッドな住まい」に関心を持ち始めています。
電力会社からの給電を遮断して太陽光発電とバッテリーを装備し、家電エネルギーを賄おうとする方法です。晴天日ばかりであれば良いのですが曇天や雨天には発電が期待できず、バッテリーの備蓄電力頼みになります。
結局は高価な大型バッテリーを装備するか、電力供給のできるPHVなどに頼ることになり、投資額が大きい割には不安定な電力事情に陥ります。
しかし、新築住宅であれば比較的容易にオフグリッドな住まいを造ることができます。太陽光発電で得た電力を無駄にしないこと、すなわち断熱に関する仕様を高気密、高断熱住宅以上の性能にアップすることです。
断熱材の増厚、開口部の三重化、基礎や床下まわりの換気と断熱に加え、設備面では太陽熱温水器+大型貯湯タンク、床下空気循環ダクトなどを設けることで、中間期は冷暖房不要、厳寒期と炎署期のみ10畳用程度のエアコンを一台だけ運転することで30坪程度の冷暖房がまかなえます。費用的には1ランク仕様のグレードを上げる程度ですので、それほど大きな負担にはなりません。
要するにオフグリッドな住まいの成否は「オフグリッドの器」をどう設えるかにかかっていると言えます。
(建築家・中村義平二)























