明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第187回 雁行型マンション 省エネ含め将来性のある方式 佐藤寿哉 不動産学部3年
住宅新報 2017年6月6日 号 4面
【学生の目】
日頃街中で目にするマンションはそれぞれ特徴があり、街を歩きながらの観察は楽しい。千葉市花見川区幕張本郷を訪れた際、都内ではあまり見かけない、住戸が斜めに配置された中層マンションがあった(写真)。住戸を斜めに配置する理由に興味をもった。
調べると、住戸を斜めに配置するタイプを雁行型マンションという。定義は、建物の平面形状が一住戸ごと、または数住戸ごとにずれている形式の建物(マンション再生協議会資料)である。
雁行型のメリットは、一般的な版状のマンションと比較して大半の住戸が角部屋となり、中間住戸でも3方向に開口部を設けることができ、採光、通風、眺望に優れることだ。また住戸の独立性が高まりプライバシーの確保に適している。中高層マンションでは戸数密度の確保や柱割りの問題から、住戸の間口を狭く、奥行きを長くすることが多く、日照や通風などの居住性が劣るほか、共用廊下側のプライバシーには特に配慮しなければならない。雁行型は版状マンションの問題を解決している。
一方、デメリットは第一に、住戸によって居住性が大きく異なる場合がある。第二に共用廊下が複雑でアクセスの容易さに劣る。第三に建築構造が複雑になり、第四に外壁の面積が広く工事費が高くなる。
居住性に関しては、アレンジしやすいベランダの形や広さを工夫して居住性の差を小さくする。アクセスに関しては、廊下を斜めにして距離を短縮するともにマンションの個性とし、併せて廊下側の住戸のプライバシーを高くする。5階建てまででは壁式構造とすれば、生活の邪魔になる柱をたくさん立てる必要がない。また、角部屋は中間住戸より10%程度高く分譲できることを考えれば工事費の増加はカバーできる。
雁行型マンションは将来性のある方式で、普及を図るべきだ。前記に加えて、省エネルギーに貢献できることも理由の一つだ。住戸内の通風を確保することが困難な版状マンションは機械換気や空調設備を多用し、電気を消費する。また、共用廊下側の空調屋外機が出す気流が通行人を不愉快にさせる。雁行マンションは開口部が多く、換気に使う電気量が低減できるほか、建物空間に変化があり、敷地内に植栽を植えることで微気候を発生させやすい。微気候で生じる気流を利用して省エネマンションを実現できる。
【教員のコメント】
横長の版状マンションでは立面は退屈、共用廊下は凡庸、住戸は没個性的になりがちだ。立面や平面に適度な緊張感を生むには、分節が必要だ。雁行マンションは平面、立面ともに分節があって退屈とは無縁で、個別性の高い住戸を実現できる。
























