景気に左右されない不動産の仕事術 (15)すべては良きことのために 視点変えたら状況好転
住宅新報 2017年4月25日 号 5面
連載: 景気に左右されない不動産の仕事術

景気に左右されない不動産の仕事術
バブル時代が崩壊した後の約5年間、マンション用地で20カ所を損切り売却する仕事をした経験があります。
それは、利益を全く生まない敗戦処理投手のような空しい仕事で、売らなければ前に進めないが、売れば売るほど赤字になりました。金融機関との抵当権抹消交渉では、猛烈に文句を云われ、社内調整では、売却損を他の所有不動産に追加担保を付けられるような交渉をするな!と云われ、買主との話し合いでは、理不尽な条件を云われ、まさに金融機関、社内対応調整、お客様対応での三重苦。おまけにすべての土地は前任者が仕入れたものでした。
何をやっても、どこへ行っても文句を云われ続け、次第に性格も曲がりそうになりました。あの頃、私に起こっていたことは、この世のものとは思えぬほどネガティブなことのオンパレード。一体、この状況は何なんだ? 自分は悪くないのになぜこんな目に遭うのだと愚痴ばかり口にし、言えば言うほど環境は悪化していきました。しかし、ふと気付いたのです。苦労ばかりとはいうものの、生命を取られる訳でもないし、ちゃんと食事ができて、家で眠れる環境があるではないか。
そこから180度意識を変え、視点を「なんでこんな目に遭うのだ?」から「このことから何を学ぶか?」に置き換えて考えてみたのです。つまり、自分の脳に対する質問を変えたのです。このことに気づいてから、不思議と目の前の環境が大きく開け始め、驚くような商談の話が次々に入り、利益に貢献できるプロジェクトを生みだすことができるように変化したのです。できる、できないの分かれ道は「やろう」の気持ちがあるか?ないか?で決まります。ネガティブな状況と感情に流されるのでなく、思考や心をマネジメントすることを意識することが大事です。
心は巧妙です。自分の都合の悪いことについては、うまい具合に言い訳を用意し、外堀を埋め始めるのです。だからネガティブな感情に意識を合わせない。このことを学んだわけです。
自分に届いたギフト
そして、愚痴が出るのは感謝が足りていなかったからです。この時代の苦しかった経験が、実は、今の自分を支えている有難い経験だったのです。そして、景気、不景気の波を味わいながら、自分の使命、この世に生まれた意味を考えてみました。この世があって、あの世があるとするならば、あの世に持って行けないものに執着するのでなく、この世に残せるのは何だろう? それは、世の中のお役に立つことしかなく、今に心を置いて全力を尽くすことと感じました。
人生の出来事はすべて自分の気づきのために起こる。良いことも、そうでないことも偶然ではなく、必要必然で受け止め、自分に届いたギフトと捉える。人生に無駄なギフトはなく、いろいろな体験と経験をするために生まれてきたということ。すべては学びであり、本当に豊かで良き人生を送るために起こる。この意識を理解してこそ、景気に左右されないあり方につながるのです。(小原秀紀=ノヴェル社長)
景気に左右されない不動産の仕事術〈目次〉
(1)景気とは何か?/(2)感性を磨く/(3)歴史から学ぶ/(4)阪神淡路大震災からの学び/(5)損得から尊徳へ/(6)競争から共創へ/(7)出入口の法則/(8)自分が源/
(9)軸を定める/(10)ベストセラーよりロングセラー/(11)不動産ビジネスの黄金律/(12)ご縁と感謝/(13)中庸の精神/(14)不動産の本質を知る/(15)すべては良きことのために/⑯志/※小原秀紀著書「不動産の仕事」(かんき出版・16年)にも多数の事例が掲載されています。
























