ニュースが分かる! Q&A 国家資格化を目指す賃貸不動産経営管理士 より高度で専門的なアドバイザーに
住宅新報 2017年4月4日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A
後輩記者 AI(人工知能)によって、色々な職業が取って変わられるそうですね。
先輩記者 10~20年後に日本の労働人口の49%は、AIやロボットなどに代替が可能であると野村総合研究所が発表していたな。
後輩 発表資料によると、芸術や歴史、哲学などの抽象的な概念を整理・創出する知識が求められる職業は代替えが難しい。一方で、必ずしも特別の知識やスキルの必要がない職業、データ分析や秩序的・体系的な操作をする職業は、代替えできる可能性が高い傾向があるということです。
先輩 代替えの可能性の高い職業では、事務、窓口、配達などの定型的な仕事はすぐにAI化できそうだな。会計士や税理士でも危うい、と週刊誌が騒いでいたぞ。
後輩 「士業」は専門の知識や経験が必要なので代替えは難しいと思っていました。
先輩 単に過去のデータや判例、制度の知識を持ってきて対応するだけでは、残っていくのは難しい。ただ、一律にその職業が無くなるのではなく、代替えされる仕事の部分が出てくると考えた方がいい。働き方が変わる、という意味でとらえるべきだな。
後輩 不動産業界でも不動産とテクノロジーが融合した「不動産テック」が広まり、定型的な業務が効率化されていきますからね。宅地建物取引士はどうなりますかね。
先輩 発表資料には載っていないが、代替えは難しいだろう。ただし、単に顧客が求める物件情報を探してきて提示するだけなら、代替えされてしまう。だから、今後の不動産スタッフは、アドバイザーやマネジメントの能力が更に必要になってくるな。
後輩 不動産のアドバイザーと言えば、賃貸不動産経営管理士の資格に注目が集まっていますね。昨年の受験者数は前年の3倍も増えたと聞いています。
先輩 先般の賃貸住宅管理業者登録制度の改正によって、重要な役割が位置づけられたからな。登録業者は事務所ごとに、その賃貸不動産経営管理士か、6年以上の実務経験者の必置義務が生まれた。貸主に対する重要事項説明や書面交付を行う際にも同じ資格要件が求められている。
後輩 賃貸住宅の空室問題などの相談が増え、サブリースに関わるトラブルは依然として多いですから、ますます重要な役割になりますよね。
先輩 今、社会はフローからストック型への流れにある。ストックを利活用してビジネスチャンスにつなげていかなければならない。資産の有効活用などの提案力が一層求められている。
また、国家資格化の動きがある。3月に賃貸不動産経営管理士協議会が実務検討会を設置した。国家資格化されれば、オーナーや入居者に専門家として認知される。より高度で専門的な経営アドバイザーになるということだ。
後輩 幅広い知識が必要になりそうですね。
先輩 専門のアドバイザーとしての役割が強まるからな。重要な経営上のパートナーとなり、事前にトラブルを防ぎ、住宅管理を通じて安心・安全を約束し、住まいの快適性を提供する。貸主と入居者の満足度を高めていく役割だ。つまり、運用資産のマネジメントだ。
後輩 国家資格化は信頼の証になって、社会からの期待感も高まりますよね。資格を取得するにしても、相当な覚悟が必要ですね。
先輩 原状回復、設備故障やクレームの対応、家賃滞納の督促なども大事だが、御用聞きレベルの業務でいい、というわけにはいかないからな。有資格者になっても地位の向上に伴って、更に知識や技能に加えて、責任や強い倫理観も求められる。
われわれ記者も日々勉強して、時代を見る目を養い、何が問題なのかを探るアンテナを常に持ち合わせていなければならない。記者やライターは資格の要らない職業だから、日々の努力を怠れば、代わりはたくさんいるということだよ。
後輩 しかし、記者やライターはAIに代替えされづらい、となっていましたが…。
先輩 企業や行政の発表資料を基に定型的にデータ入力、または文章化するような記者やライターは、すぐに代替えされるぞ。AIはすでに小説も書いているからな。
後輩 えっ、取材に行ってきます。






















