60歳からの住宅ローン【リ・バース60】累計申請件数1万件突破

様々な不動産情報が盛り沢山!

プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 205 鋼材 耐火性向上の仕組みも 価格ネックもステンレスに期待

住宅新報 2017年2月7日 号 7面

連載: 知って得する建物の豆知識

総合
鋼材の進化が新しいデザインを支える

鋼材の進化が新しいデザインを支える

 住宅用の構造材としては木材が主流であり、大型建築物にも木材が使われるようになってきましたが、中高層建築物では鋼材が構造材の主流です。鋼材は工業製品であるため木材のようなバラつきはなく、品質が安定しています。また、価格も比較的安価ですが、重量・加工性・耐火性にデメリットがあります。

 一言で「鉄鋼」と言いますが、鉄と鋼は性質が異なります。いわゆる鉄材は鉄鉱石をコークス、石灰石、石炭を溶鉱炉で混ぜ溶かすことで得られます。溶鉱炉から流れ出て固まった鉄は「銑鉄(せんてつ)」と呼ばれ、これを材料として鋼や鋳物が造られます。銑鉄は元素Feの他に微量の炭素、珪素、マンガン、リン、硫黄を含んでいますが鉄の性質を大きく変えるのが炭素含有量です。一般的に炭素を1.7%以上含有しているものを銑鉄、1.7%未満のものを鋼と言います。

 80年頃までは定型の鉄骨材が多く使われていましたが、それ以降は構造設計の最適化が進行し、鉄骨材も性能の強化が進みました。例えば高層建築物が多く建てられるようになり、大スパンと高層化という構造ニーズに応えたのが「高張力鋼」です。

 しかし高張力鋼でも、超高層建築物では強度が不足するため、高張力に加え極厚化と大型化が進みました。従来の鉄骨材は12ミリや16ミリ程度の肉厚でしたが100ミリ以上の肉厚を持つ鉄骨材が使われるようになっています。また、断面形状の大型化も進み66年完成の霞が関ビルは外形450ミリの構造材が使われましたが現在では外形1000ミリを超える鉄骨材も登場しています。

 先に鉄骨材は耐火性にデメリットがあると書きましたが、鉄は500度を超えると急激に軟化が進み、強度は一気に低下します。大断面木材などでは火災が起きても表面は燃焼しますが、燃焼によって炭化層が形成され燃焼が進まなくなるため、強度の急激な低下、即ち構造体の崩落は避けられます。鉄の弱点である耐火性を上げる研究が進み微量の炭素、シリコン、マンガン、クロム、モリブデンを添加することで耐火性が大きく向上することが分かりました。

 こうして開発された鋼材は「耐火鋼(Fire Resistant Steel=FR鋼)と呼ばれ、構造材の耐火性能確保と耐火被覆低減または削除が可能になりました。FR鋼は一般的な鋼材に比べ2割ほど高価ですが工期短縮による全体的なコスト削減、室内有効スペースの拡大、メンテナンス費用の軽減など様々なメリットがあります。

 次期鋼材として期待されているのがステンレス鋼です。ステンレスは鉄に耐熱要素であるクロムやニッケルを含んでいます。例えば18-8ステンレスはクロムを18%、ニッケルを8%含み、耐火鋼よりもはるかに耐火性能が優れています。耐食性にも優れており鉄の弱点である錆による腐食も発生しません。更に、低温下における靭性(粘り強さ)が高いのも特徴で、鉄骨材のように低温下で脆性破壊を起こすこともありません。また、非磁性であることもメリットです。医療や精密電子機器製作の現場では鉄骨材の磁化も障害になることがあり、ステンレス鋼の導入が進んでいます。デメリットはコストの点で、一般的な鋼材の10倍という価格がどこまで下げられるかが普及のカギです。

(建築家・中村義平二)

求む!買取物件 価値ある中古不動産の売買はムゲンエステート住宅新報別冊 不動産テック.BIZ Vol.14 最新号発行 不動産×ITの最新トレンドをお届け会員会社(賛助会員を含む)のプレスリリースを一元的に集約・掲載する情報発信サイト マンション管理プレスリリースセンター

関連サービス