住宅弱者対策手厚く 改修100万円、家賃補助4万円など 国と地方で補助
住宅新報 2017年2月7日 号 1面

公営住宅だけでは、セーフティネットの役割を果たせなくなった。東京では応募倍率が22倍を超す(東京都23区内のUR賃貸住宅)
少子高齢化に伴い、高齢者世帯や子育て世帯、あるいは生活困窮者などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、国土交通省では民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネットの創設に向けて動き出した。17年度の予算でも、27億円の予算措置を確保している。
そして、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が2月3日に閣議決定された。要配慮者に対する賃貸住宅の供給促進を図るため、地方公共団体による供給促進計画の作成や要配慮者向け賃貸住宅(円滑入居賃貸住宅)の登録制度の創設等の措置を講ずる。
予算措置では、住宅確保要配慮者向けの「円滑入居賃貸住宅」の改修や入居者負担の軽減等の支援を行う。居住支援協議会などによる住宅確保要配慮者の円滑な入居を図るための活動への支援も行う。
「円滑入居賃貸住宅」については、要配慮者専用とする「専用住宅」と、要配慮者以外も受け入れるが要配慮者の入居も拒まない住宅の2つが含まれる。
このうち、要配慮者専用住宅の改修補助については、補助対象はバリアフリー改修工事などで、国と地方自治体による協調補助の場合は、それぞれが3分の1を受け持つ。また国による大家への直接補助の場合も、国は3分の1を補助する。国の補助限度額は1戸当たり50万円。
これに加えて耐震改修、間取り変更、またはシェアハウスなどへの用途変更も含めて工事を行う場合には、更に50万円加算され、総額100万円の補助となる。専用住宅における入居者の月収要件は38万7000円以下。入居の際の家賃と家賃債務保証料の補助が受けられるのは、原則として公営住宅の場合と同じく月収15万8000円以下が要件となる。
専用住宅への家賃補助も設定する。地方自治体が支払う半額を国が負担し、国の補助限度額は月額2万円。補助の最大額や補助額の要件については地方自治体が決める。家賃債務保証料についての補助についても同様で、この場合に国の限度額は1戸当たり3万円となる。
また、住宅確保要配慮者の家賃債務について、家賃債務保証業者が住宅金融支援機構に保険をかけることができるように整備も進めている。この措置は要配慮者の入居を拒まない登録住宅に関しても施される予定だ。これによって、入居の際の要配慮者に対するハードルをより低くする意向だ。要配慮者の家賃支払いが滞った場合に、その一部を同機構が負担する仕組みとなる。
家賃債務保証業者についても登録制度の創設が検討されており、この登録業者が同機構からの保険を利用できる仕組みとなる。入居者からの家賃債務保証料の一部を同機構に支払う形で、保険の一部を保証する。保証比率などに関しては、法律案により検討される予定だ。
増え続ける要配慮者
住宅セーフティネットは、従来は公団住宅など公営住宅制度が基礎となっていたが、老朽化や財政上の問題から公営住宅の管理戸数が一時頭打ちするなどしており、現状、応募倍率が全国でも5.8倍(国交省住宅局資料より)など足りない状況だ。そこで、民間賃貸住宅への助成や、空き家対策も含めた総合的な制度に変貌を遂げた。
その最大の理由は、こうした生活困窮者の増加にある。例えば、高齢者を見てみると、少子高齢化社会が進んでいる日本では、17年1月20日現在、65歳以上の高齢者は3449万人で、総人口数に占める割合は27%を超えている(総務省人口推計)。年金額の切り下げや支給開始年齢の引き上げなど、先の見通しは暗く、住宅確保要配慮者の増加を防ぐ、決定的な手立てには妙手がないのが現状だ。
貸主の意識改革も
17年度予算に盛られた「新たな住宅セーフティネット制度」では、住宅確保要配慮者向けの住宅の改修費支援のほか、家賃などの低廉化対策として直接、民間事業者などに補助する仕組みができている。制度の根本は、住宅が住宅確保要配慮者専用か、入居を拒否しないものであることだ。高齢者や障害者の場合、賃貸住宅オーナーが入居を嫌がる傾向が高い。日本賃貸住宅管理協会の調査によると、高齢者に対しては6割、障害者に対しては7割、子育て世帯に対しては少ないながらも1割が拒否感を持っているという(日管協14年度家賃債務保証会社の実態調査報告書より)。孤独死の心配や家賃滞納のおそれからだろう。その意味では、家賃債務保証に対する住宅金融支援機構の保険は一定の効果が出るのではないか。
ただ、補助金頼みでは本来の意味でのセーフティネットとはいえない。以前、障害者を対象にした賃貸住宅を取材したが、学生対象の管理物件などより周りの評判がよかったという例があった。不動産事業者の取り組み次第で、賃貸オーナーの意識も変わる。意識改革につながる提案力が不動産事業者には望まれる。
また、住宅供給だけでない、セーフティネットから自立する人を支える仕組みや就労支援などにつながる仕組みも併せて進める必要がある。


























