建築用語には地域に根ざした用語が少なくありません。「すが漏れ」(下図参照)という言葉は、積雪地帯ではよく知られた重要な言葉ですが、関東以南の平野部では建築工事関係者ですら知らないことがあります。
瓦棒葺きや平葺きの金属屋根に一定量の雪が積もると、積雪の底部は屋内の暖房などの影響によって溶け始めます。溶水は屋根面を伝わって軒先に流れ、雨どいなどから排水されますが、夜間に気温が下がると軒先の部分は屋内温度の影響を受けないため凍結します。これを繰り返すことで次第に軒先の凍結した土手が高くなり、ダムのように溶水をためることになります。
金属屋根材の接合部は一体的ではなく缶詰の縁のように金属板を曲げ加工してありますが、缶詰ほどの密閉性はありません。また、過酷な温度変化を受ける金属屋根は伸縮度合いが大きく「逃げ=隙間」を持つことで屋根面の全体的な変形を抑えています。そのため滞留した溶水は毛細管現象の働きもあって、容易に金属板の隙間に染み込み、結果として「すが漏れ」を引き起こします。また、瓦屋根や着色セメント板屋根は金属屋根以上に「すが漏れ」への耐性は高くありません。























