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スタンダード会員限定17年度予算 国交省概算要求 空き家対策で新規事業 全国共通検索システム整備など

住宅新報 2016年9月6日 号 1面

政策
空き家対策のシステム図

空き家対策のシステム図

 新規事業として、全国共通の空き家・空き地バンクシステムの整備などに1億4000万円を要求した。

 同バンクは自治体ごとに開設されているため、現状では移住希望者などが目当ての地域を絞った上で物件を検索しなければならない。そこで国交省は、物件情報の登録フォーマットを統一し、各自治体が物件情報を掲載する標準的なシステムを整備する方針。移住希望者が全国の空き家・空き地をワンストップで検索できる仕組みの構築を目指す。

 参画は自治体の任意。既に同バンクを運用している自治体は、コスト面を考慮し全国共通システムに移行するケースが多いと予想される。併せて、空き家活用に関する相談やマッチングなどを行う主体として、自治体や宅建業者などで構成する「地域協議会」を設置する方向。空き家・空き地の全国規模での流通活性化を目指す。

所有者情報活用でモデル自治体支援

 「空き家所有者情報提供による空き家利活用推進事業」を始める方針。要求額は5000万円。所有者が分からず、空き家の利活用が進まない実態の改善に向けた取り組みだ。行政が保有する所有者情報を、個人情報保護法との整合性を取りつつ民間と活用する方策について、モデル的な事例を手掛ける自治体を支援する。国交省は現時点で、所有者の同意を得て利活用の働きかけを行う京都市の事業(2面に関連記事)を参考例に位置づけている。

クラウドFで再生地域に専門家派遣

 不動産特定共同事業法の改正を念頭に置き、クラウドファンディング(以下CF)などを活用した空き家・空き店舗の再生推進事業を創設する予定。要求額は1億3600万円。CFに代表される小口の投資資金を活用した不動産再生事業を検討している、地域の不動産事業者を支援する。支援対象の要件は今後詰めるが、自治体などと連携体制を構築する事業者をイメージしているという。

 具体的には、建物調査やマーケティング方針の立案、改修や資金計画など事業計画の策定といったノウハウをもつ専門家を派遣。並行して、成功・失敗事例の現地調査や事例集の作成、小規模不動産特定共同事業(仮称、今週のことば)をテーマにしたセミナーの開催も予定している。

「先駆的空き家対策」も

 このほか継続事業として、空家特措法(空家等対策の推進に関する特別措置法)に基づく自治体の空き家対策を支援する「空き家対策総合支援事業」に前年比1.5倍の30億円、自治体が弁護士などと連携して取り組む「先駆的空き家対策モデル事業」に同1.25倍の1.5億円を要求した。

民賃活用のセーフティネット 住宅要配慮者へ空室活用

 子育て世帯や高齢者世帯、障害者世帯などの住宅確保要配慮者を対象とする、民間賃貸の空室などを活用した住宅セーフティネット制度「あんしん入居住宅(仮称)」を創設する方針。

 あんしん入居住宅は、一定期間中は要配慮者専用とする「認定」制と、要配慮者以外も可としつつ要配慮者の入居を拒まない「登録」制の二つを用意する。認定制はセーフティネット仕様への改修に対する恒久的な補助のほか、国・地方公共団体による実質的な家賃補助と家賃債務保証料などの補助を想定。登録制は、年限を設けた上での改修費の補助や、住宅金融支援機構による融資を予定している。

 地方の活性化に向けて、地方のニーズに対応した住宅の確保に取り組む。地方の活性化に沿った事業について、自治体から住宅金融支援機構に要請があった場合にフラット35の金利を引き下げる。自治体が財政的支援を行う、近居促進などの事業が対象となる見込み。併せて定住を推進するため、地域優良賃貸住宅の整備を支援する。

価格査定マニュアル実務での定着促す

 約2年後の改正宅地建物取引業法の施行に向けた周知活動や、適正な建物評価を普及させるための取り組みとして前年と同じ2100万円を要求した。

 周知活動では、宅建業者や消費者向けに説明会を開く予定。適正な建物評価の普及は、昨年改訂された不動産流通推進センターの「既存住宅価格査定マニュアル」について、宅建業者の実務への定着を促す。具体的には、同マニュアルを利用して査定した後の実際の売り出し価格や成約価格の実例を分析。査定と価格との間にかい離が生じないような、同マニュアルの使い方を探る。同時に、金融機関による担保評価の実態を把握。その上で宅建業者や金融機関向けにノウハウを整理し、ガイドラインなどの形で示す方向だ。

海外支援は継続

 昨年度に始めた住宅産業の海外展開を支援する事業を、今年度も継続する方針。東南アジアなどの新興国を対象とする。まず民間企業による、相手国の住宅建築関連制度の調査を実施。それを踏まえて日本の住宅建築工法や設備・部品などの技術提供や、個別の住宅プロジェクトへの技術提案などを支援する。

 住宅政策課は「特に日本の耐震技術に対して、海外の関心が高い」とした上で、それを日本企業による実際の海外展開にどう生かすかが課題、との認識を示している。

長期優良リフォーム 若年者向けに要件緩和

 長期優良住宅化リフォーム推進事業は、リフォームの要件を一部変更した上で継続する方針。前年比1.13倍となる45億円を要求した。

 同制度では、インスペクションを行った上でリフォームを実施し、維持保全計画を作成する案件に対してリフォームなどの費用を補助。三世代同居対応の工事も行う場合は50万円を上乗せする。 

 17年度からは耐震・劣化対策を基本とする長期優良住宅化への対応に加えて、断熱改修などを部分的に行う性能向上リフォームの実施も要件に加える考えだ。その上で、40歳未満の若年者についてはこうした要件をやや緩和し、生活実態に合わせて必要な性能向上リフォームを行えばよい、とする方向で検討する。なお、現行のS基準で応募する場合は中古向けの長期優良住宅認定を受けることが要件。

 ストックの品質向上や維持管理、それらを前提とした評価や金融商品をパッケージにした仕組みの開発を促す「良質な住宅ストックを形成する市場環境整備促進事業」は、17年度も継続する方針。今年7月に採択された全国の39団体が、基本的に来年度も取り組みを続ける。追加採択の可能性もある。同事業を含む住宅ストック維持・向上促進事業について、同1.21倍の12億円を要求した。

「IoT住宅」整備へ ニーズ調査、経産省とも協力

 IoT住宅をはじめとする次世代住宅の整備や、健康・介護、少子化対策などに役立つ先導的技術の効果を検証するプロジェクトを支援する方針。IoT住宅については、居住者の生活データの収集や分析などの居住者実験も予定する。

 IoT住宅のイメージは、例えば脱衣所や浴室の気温を計測しつつ湯温をコントロールしてヒートショックを防止する、といった機能をもつ住宅。関連事業には今年度から着手し、10月頃に供給側・需要側双方を対象にニーズ調査を実施する予定。それまでの生活を大きく変えた「モノ」「サービス」について、成功要因や失敗事例を探る。その後、経済産業省などの関係省庁と共同で懇談会を開催。IoT住宅の普及に向けた課題を洗い出しつつ、共通認識を形成していく。これらの結果を踏まえて、17年度以降の実証段階に進みたい考えだ。

 

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