躍動するASEAN―― アウトバウンドの戦略 (2) 借地権での事業のみ可の国も 土地・建物所有の規制を理解
住宅新報 2016年7月19日 号 8面

ASEAN諸国の不動産制度の比較
前回は、ASEAN諸国を経済の発展状況に応じて3つのTierに分類し解説した。
各国の規制で代表的なのが、土地・建物の所有権に関するものだ。「土地は国家に帰属する」という概念の下に法律がつくられている国が多く、これらの国々では所有できないために不動産投資が進まない――という点が懸念事項として挙げられる。各国の土地・建物の所有に関する権利は、表の通りだ。
マレーシア・シンガポールでは、一部の例外はあるが、基本的に土地・建物の所有が可能。コンドミニアムを所有する際も規制は少ない。カンボジア・フィリピン・タイでは、外国企業による土地の保有は原則不可能だ。現地法人であれば土地を保有できるが、当該現地法人のマジョリティ株主が現地の個人・法人である必要がある。つまり、日本企業単独では土地保有の規制をクリアできない。コンドミニアム所有については、一定の割合まで可能である。
ミャンマー・ラオス・ベトナム・インドネシアでは、土地の所有権自体が存在しないか、もしくは国民である個人にのみ認められる。従って外国法人・内国法人を問わず、法人は所有権を確保し不動産の事業を行うことはできず、借地上で借地期間に応じた事業を行う必要がある。コンドミニアムについても、所有は不可だが一部で規制緩和が進み始めており、一定の割合まで外国人が購入できる国もある。ただし事業用に関しては、政策的に特区を設けて所有権規制の例外地区をつくったり、コンドミニアムを購入できる外国人を細かく定義したりとルールが複雑化しており、これを理解するのは簡単でない。
Tier3.2・1の順で、様々な規制が整備されていく傾向にある。登記制度や都市計画の整備、開発許認可の取得までのプロセスの透明性、日本におけるREINSのような不動産流通情報の透明化などは、経済の発展により進捗する。これらを踏まえてどのリスクを取り、経済発展に伴う大きなリターンを得るか、という戦略を立てる必要がある。(キャピタル・ブレイン マネージング・ディレクター大塚幹生)






















